業務のIT化が可能になっても変わらないもの

宅地建物取引業の書面の電子化を可能とする宅地建物取引業法施行令及び同法施行規則が改正され、令和4年5月18日に施行されました。これにより、宅地建物取引業法第34条の2(媒介契約締結)、第35条(重要事項説明)及び第37条(売買もしくは交換または貸借の契約締結)に基づき交付する書面について、紙に代えて電子的に作成した書面を電子メールやWeb からのダウンロード形式等を活用した電磁的方法により提供が可能となったため、従来は一堂に会して対面で行っていたことを、パソコンやテレビ、タブレット等の端末の画像を利用して、対面と同様に説明を受け、または契約を締結することが可能となったのです。

 

ところが、電子化による法改正に即対応できるのは、IT化・DX化にいち早く取り組んできたベンチャーや大手企業同士の契約であり、日本、特に旧態依然の不動産業界において急激に普及していくことは考えにくく、何をもって交付したことが記録として残せるのか、また、何をもって契約が締結されたという記録が証拠になるのか、書面が改変されていないかの確認をどのように行うか、などを考えると、紙による署名または記名押印の方が(今のところ)視認性・客観性に優れている、と感じる人の方が多いのではないでしょうか。また、重要な財産である不動産の売買契約においては、契約当事者や仲介業者が一堂に会することよってしか感じ取れない「空気」を察知することができることも紙による契約の大きなメリットと考えます。

 

ただ、以上のことは遅かれ早かれ確実に変革され普及・浸透される時期が来るでしょう。

それよりもっと変えることが難しい、変わることができないこととして、「重要事項説明書の作成に伴う物件調査」があげられます。

物件調査は、いくらデジタルマッピングが普及しようが、現地調査をもとにそのケースに応じ気になった点を役所でヒアリングするなど、人間の口と耳と手と頭脳でその照合作業を行わなければ、なかなかできるものではありません。また、その調査成果を重要事項説明書に文章で落とし込む作業は、定型文だけで作成できるものではありません。なぜなら世の中のすべての不動産に同じものは二つとないからです。

 

今回の法令改正は特に宅建業界においてセンセーショナルではありました。たしかに業務の一部効率化は図られることでしょう。更にはこのことについて「業務全体が簡略化できる」と都合の良い解釈をして、なかには極端なことを仕出かしてやろう、と考えている人さえいるかもしれません。ところが、重要事項説明における調査項目は年々増加し、その作成にかかる難易度も数十年前とは比べ物にならないくらい難化しています。依然として効率化・簡略化できることは少なく、「人間の頭脳」で処理すべき領域は増え続けていることを忘れずに…宅建業に従事する人は今後より一層誠実かつ勤勉でないと淘汰されてしまう、ますます厳しい時代になる気がします。

「三タメ契約」にはなるべくしない

第三者のためにする契約、通称「三為(サンタメ)」とは、簡単に言うとAがBに不動産を売却したのち、BがCに転売する際に、A→B→Cと所有権移転登記をせずに、A→Cに直接所有権移転登記を行うというスキームです。これを「新・中間省略(登記)」と呼ぶこともありますが、このスキーム自体は民法上の要件を満たせば、不動産登記手続上において合法的に行うことができるため、実務においては広く用いられています。そして、最近ではそれを専門的に扱う宅建業者を「三為業者」と呼ぶようになりました。
※厳密に言うと、Bは「省略」ではなく、そもそも所有権を経由していないことが要件となります。Bに所有権が(一瞬たりとも)経由していないことを主張するためには、AB間及びBC間の不動産売買契約書において明確な特約条項を入れ、それに沿った登記手続き(第三者のためにする契約を原因とする登記原因証明情報を添付)を行わなければなりません。
参考文献:青木登『登記官からみた登記原因証明情報のポイント』41-42頁(2012年)新日本法規。

 

ではなぜ、この「三為」契約方式を利用するのか。

この取引では、AとCが一般人(法人含む)でBが宅建業者というのが割合的には多いです。このスキームによってBは転売差益を税負担(主に登録免許税及び不動産取得税)なく得られることができるため、宅建業者であるBは単にAとCを仲介した場合に得られる報酬額よりも多くの利益を得ることができる、という大きなメリットがあるからです。

 

ただし、このスキームには当然デメリット・リスクがあります。

①AB間の契約から引渡しまでの期間が3か月前後に設定されることが一般的なため、その間にBがCを見つけられないとBがAに違約金を支払って契約解除するか、B自らがAから対象不動産を購入しなければなりません。そのため、Bはいざとなれば買い取ることができるよう資金を調達しておくとともに、当面在庫リスクを抱える覚悟が必須となります。

②日常行われている三為では、BC間の契約のほとんどが売買契約です。そうすると、Bは宅建業者であるため、契約不適合の免責特約を設けることはできず、Cに不動産を引き渡してから最低2年間の契約不適合責任を負わなければなりません。たとえばその間、対象不動産から地下埋設物が発見された場合、その除却を負担する責めなどを負います。また、それでもCが当初の目的を達成することができない致命的なことになった場合は契約を解除されることもあります。そのため、2年間はけっして安心することができません。
参考文献:福田隆介『新・中間省略登記が図解でわかる本』134-135頁(2012年)住宅新報社。

③BはAから相場より安く仕入れ、Cにはより高く売ることによって差益を得ることが目的のため、相場を知ったAまたはCから訴えられるリスクがあります。例えば、福岡高裁平成24年3月13日判決によると、BはAから売却の仲介を依頼されたにもかかわらず、自ら1500万円で購入し、同日、Cに2100万円で売却して600万円の差益を得たところ、Aから善管注意(誠実)義務違反として損害賠償を求められました。裁判所は、Bが仲介契約をせず直接に買い受ける売買契約とする場合は、その合理的な根拠を示す必要があり、宅建業者は、これがない場合は仲介契約とする義務があると判示し、Bの行為が仲介契約であった場合に得られたであろう仲介手数料の上限額72万4500円(Cに売却した2100万円を成約価格として、その3%+6万円+当時の消費税額5%)を控除した527万5500円の範囲で損害賠償(不法行為)を認めた、という事例です。
参考文献:福岡高裁判平成24年3月13日判タ1383号234-240頁(2013年)。

 

特に上記③は「第三者のためにする契約」スキームの最たるリスクと言えるのではないでしょうか。合理的根拠を説明できずに、仲介契約によらず売買契約により不動産取引を行うことは、消費者保護を目的として定められた宅建業法第46条の規定(仲介手数料の上限額)を潜脱することになります。なお、この判例は民事上の賠償請求についてですが、さらにAがこの判決をもって免許権者に出向けば、宅建業法上の監督処分も受けてしまうリスクもはらんでいるのです。

最近では中間者が1人(社)にとどまらず俗に「四為」「五為」、そして中間者が宅建業者ではない一般人(個人・法人)の場合もでてきており、もうコンプライアンスやモラルなんてまったく無視されている状況です。その一例に「かぼちゃの馬車」事件もあることをけっして忘れてはいけません。融資をする金融機関も宅地建物取引業法をもっと勉強していただき、少なくとも購入売却を短期間に繰り返す宅地建物取引業免許を持たない不動産投資家には融資しないところからもお願いしたいと考えますが、ここはみなさまのような勉強熱心な方々が不動産業界の悪しきイメージの払拭に尽力していただきたいと願っています。

宅建業法37条書面の作成は法律家に依頼を!

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結した場合や仲介業者の立場で契約を成立させた場合には宅地建物取引業法第37条第1項各号に規定された事項が記載された書面(以下、「37条書面」という。)を取引の相手方等に交付すべき義務を負いますが、この書面は「不動産売買契約書」として兼用することが実務上一般的となっていることから、「不動産売買契約書」は宅地建物取引業者が代理作成できる、と解釈している人がいるのではないでしょうか。

このことについて、国土交通省が宅地建物取引業法の解釈・運用を行う際の基準として作成した「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、下記のとおり記されています。

第37条関係
書面の交付について
本条の規定に基づき交付すべき書面は、同条に掲げる事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができる。

これは「不動産売買契約書37条書面 ではない」(不動産売買契約書は宅建業者が当然に作成できるという趣旨について言っていない)ということが上記の文面で読み取れますでしょうか。

 

ところで、どのような目的の契約書であれ、少なくとも「契約書」と名の付く文書であれば、これを業として代理作成できるのは、弁護士は当然であるとしても、そのほかでは行政書士くらいです。

行政書士法(抜粋)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
Ⅱ(略)

※権利義務に関する書類とは、「権利義務の発生、存続、変更、消滅の各効果を生じさせることを目的として作成する書類」(青山登志朗(1993)『新版行政書士マニュアル』、第一法規出版)と説明しています。

 

つまり、何がいいたのかといいますと、「不動産売買契約書」は権利義務が内容となる書類であることから本来業として作成できるのはその筋の専門家である弁護士または行政書士であるにもかかわらず、その道の専門家ではない宅建業者が当然のように代理作成している実態が不思議には思いませんか、ということです。

これは別に弁護士法や行政書士法に違反しているのではないか、ということを問題提起しているのではありません。
37条書面を交付しなければならない義務がある宅建業者ですから、法律に詳しい宅建業者であれば、その者が作成した37条書面を不動産売買契約書として兼用しても宅建業法上は差し支えありません。

しかし、法律に疎い宅建業者が作成した37条書面を「不動産売買契約書」と兼用することは、トラブルを未然に防ぐという契約書作成の重要な目的にそぐわないため絶対にやめましょう(保証協会の定型書式を使用したとしても、条項の追加・改変や特約の作成までは行わないように)。

すなわち、宅建業者は弁護士や行政書士に37条書面としても使える契約書を作成してもらった方が取引の安全が図られ、貴社の信頼確保にも繋がるのではないでしょうか。

契約書の写しのみ交付する場合の留意点

OOKPAR563421611_TP_Vデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)の施行に伴う宅地建物取引業法の改正(令和4年5月18日施行)により、宅地建物取引業法第37条(契約締結時)書面については宅地建物取引士の押印が不要となったため、下記の記述は意味をなさなくなりました(今後は単に契約書の写しの交付でも可)。ただし、改正前に交付した契約書の写しを宅地建物取引業法第37条(契約締結時)書面として扱うことについては、引き続き下記記載のとおりとなりますので十分ご留意ください。

多くは売主が宅建業者で買主が一般個人・法人の場合、その宅建業者が印紙代を節約または払いたくないがゆえに、不動産売買契約書を1部しか作成せず、原本は買主、その写しを売主とするケースが宅建業界では普通に行われています。

この場合、その写しに加除修正や押印など行わなければ印紙を貼付していなくても税法上特に問題ないようですが、係争に発展することを考えた場合、原本を所持している場合と比べその写しでは証拠力が劣る、と言われています。そのため、これを危惧してなのか、その写しに「本書は原本と相違ありません」と記入し記名押印しているケースもたまに見かけます。

ただし、このような奥書をしてしまうと、いくら写しとはいえ、税法上では印紙が必要な文書として取り扱われる可能性がありますので、十分注意してください。

 

また、宅地建物取引業法では、宅建業者が売主の場合または仲介業者が契約当事者に介在する場合には、同法第37条第1項各号に列挙された事項が記載されたものに宅地建物取引士の記名押印をした書面を、売主業者に当たっては取引の相手方である買主に、仲介業者に当たっては契約当事者双方に交付しなければならない義務について規定されていますが、この書面は※不動産売買契約書と兼ねていることが多く、この契約書を単にコピーしたものを交付することは、宅地建物取引士の押印(黒く映った印鑑ではなく、赤い朱肉をつかった印鑑)がないため、いわゆる「37条書面」としては要件を満たしておらず違法となります。
※宅地建物取引業法第37条第1項各号に掲げる事項は、一般的な不動産売買契約書の条項に記載されていることが普通なため。

 

したがって、宅地建物取引業法との関係でその写しを37条書面として適法に取り扱うことができるようにするためには、その写しに別途売主業者及び仲介業者の取引士による記名及び赤い朱肉を使った印章で押印を行う必要があります。できれば、記名押印前に契約書をコピーし、そのコピーしたものに宅地建物取引士(売主業者及びその取引に関わる仲介業者すべての各宅地建物取引士)の記名押印を行うと良いのかもしれません。

なお、契約内容についての証拠力という点においては前述したとおり、契約書の原本に比べその写しは劣ります。そのため、特に契約当事者に介在する仲介業者においては、契約当事者のいずれか一方または双方が宅建業者であろうがなかろうが、契約書は2部作成し双方で平等に印紙を負担して交わすことをまずは勧めることが責務であると考えます。

間違っても、宅建業者売主の言いなりになってその売主に契約書のコピーだけを交付し、自社もそれと同じものを保管するだけでは仲介業者として宅地建物取引業法第37条書面交付の義務違反を問われることとなり、免許権者による指導・勧告はもちろん、監督処分の対象となりますので、くれぐれも留意してください。

媒介契約書の作成を後回しにしない

<参考>宅地建物取引業法では、宅建業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約書を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない旨の規定が設けられています。

ところが、大手仲介業者を除く一部の宅建業者は、宅地建物取引業法(第34条の2)の規定を知ってか知らずか、媒介契約書を作成して「遅滞なく」売主から署名とハンコをいただきその書面を交わすことはせず、後回し(売買契約成立時など)にしているのを見かけます。

確かに、このことだけをもって見れば、売主に即損害を与えることはありません。また、媒介契約が民法上では委任の規定が準用されると解釈されていることから、(民間人同士では)意思表示のみで契約が成立することにかんがみると、書面を交わしていないことをもって媒介契約が成立していないとはいえない、と考えます。

しかし、大事なことは、これをいいことにあまりノンビリしていると、他の仲介業者にその客を持っていかれることがあるのです!

「客の横取り!?」をした業者が、一般媒介を除く媒介契約(専任または専属専任)を締結した場合、あなたの会社よりも先に書面を交わしていれば、いくら媒介契約が諾成契約(当事者の合意のみで契約の効力が生じること)であるからといっても、証拠として有利となる書面で交わしていない以上、係争に持ち込んでもあなたの会社はとても不利な立場となる可能性があります(書面を交わしておかないと売買契約あっせん成立時における媒介報酬請求権についても否定されないとも限りませんし、認められたとしても仲介手数料の上限いっぱいまで取れることはないでしょう)。

また、国が民間人(宅建業者ほか一般個人・法人)を規律する宅地建物取引業法との関係では、媒介の契約を締結したときに「遅滞なく」媒介契約書を作成して相手方と交わさないと法律違反となり、取引関係者などからの通報により最悪の場合、指示や業務停止などの行政処分を受けることさえあります。

ちなみに、法令用語として使う「遅滞なく」という言葉の意味は、「直ちに」や「速やかに」に比べ即時性において遅く、正当な又は合理的な理由による遅滞は許容されるものと解釈されているようです(大阪高判昭和37年12月10日刑集15巻8号649頁)。

したがって、「何日以内に」という決まりはないものの、いずれは必ず作成し交付しなければならない書面であることから、特に物件の売主となる依頼者とは早めに媒介契約書を作成して交わしておくことをお勧めします。

重説「別紙参照」と記載省略することの是非

sakiphotoPAR538191074_TP_V4重要事項説明書には、例えば宅地建物取引業法第35条第1項第1号の規定に基づき、『登記記録に記録された事項』について記載しなければならない項目がありますが、この記載欄に「別添登記事項証明書をご参照ください」と記入するのみで、その内容の一切を記載しない場合でも、重説添付書類としてその登記事項証明書を添付していれば、宅地建物取引業法上違法とはならないものと思料します。

ただし、そのような形を取った場合、実際に重要事項説明を行うときは、添付した登記事項証明書を買主に提示して、必ずその内容を読み合わせしなければなりません。万一、それを省略した場合には「重要事項説明義務違反」となり、行政処分の対象となる可能性があります。

同様に、宅地建物取引業法第35条第1項第2号の規定に基づき『都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要』を記載しなければならない項目について、「別添資料をご参照ください」とその一言だけを重要事項説明書に記載することは問題ないと考えますが、実際に重要事項の口頭説明を行うときは、「別添資料をご参照ください」と読み上げて終わるのではなく、添付した当該資料の読み合わせも行わなければ、これも違反となりうる可能性があります。

なお、添付した資料をその都度実際の重要事項説明において読み合わせをすることは、説明する宅地建物取引士はもちろん、それを延々と聞かされる買主または借主にとってかなりの苦痛が伴うことは言うまでもありません。数時間にも及ぶだらだらした重要事項説明書及びその添付書類の読み合わせは、最終的に「何が重要だったのか」買主または借主の頭に残ることはないはずです。

したがって、なるべく重要事項説明書の記載欄または余白にその概要をあらかじめ記載し、説明の際にはその記載を読むだけにして(資料の読み合わせまでは原則として行わず)、特に質問がなければ「詳細については別添資料でご確認ください」と案内するに留めておくことが望ましい説明の仕方かと思料します。

※ただし、近年の法改正でできた項目「水防法に基づく水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地(位置)」については、実際のハザードマップを用いて当該宅地建物の所在地を示しながら説明する必要があります。

以上から、重要事項説明書はオリジナルで作成したようなA4数枚程度のものを使用するのではなく、必ず貴社所属団体(全宅もしくは全日またはFRK)が提供するひな型を使用する方が(添付書類の読込、理解及び作成時間はかかりますが)、むしろ読み合わせの時間を短くでき、その結果、買主または借主が当該不動産及び取引に伴う「重要事項」を理解できることに繋がるのではないでしょうか。

再建築不可物件の重説書き方留意点

ダウンロード再建築不可物件の売買仲介の際に、購入希望者からおそらく「どのようにすれば再建築が可能になりますか?」というご質問を受けることでしょう。

その場合、仲介を担当するあなたはその「解決策」を何としてでも探し出す必要はありません。

むしろ、「(こうすれば)建築できます」みたいなことを言って建築できなかったときには、最低でも売買代金相当額以上の賠償責任を負う可能性があり、非常に危険です。

現時点で再建築ができない物件なら「なぜ再建築ができないのか」を説明する程度に留めるようにしてください。

同様に重要事項説明書の記載においても、例えば『本物件は建築基準法で定義する「道路」に2m以上接道していないため、原則として増・改築、(再)建築することはできませんので、あらかじめご承知おきください。』と記載し、役所で例外的に建築が可能となる包括基準等が入手できればそれを添付するだけにしましょう。

それでもお客様が「購入する」という決断をしたのならば、それはすべてそのお客様の責任です。再建築できるかどうかわからない物件ですから、おそらく相場よりかなり安くで購入できる反面、そのリスクはお客様に取っていただかないと、ある意味「フェア」ではありません。

 

そもそも具体的な建築計画(確認申請レベルの平面図・立面図等)が定まっていない場合、建築審査を担当する職員としては防火上の問題等から例外として建築を認めることができるか判断いたしかねるでしょうし、その他近隣と協定を締結できることなどの条件も加われば、不確定要素が多すぎてそう簡単に「建築できる可能性はあります」なんて、なかなか言えたものではありません。

お客様の要望に何でも応えることが不動産仲介(宅建業者)ではないのです。それでも、お客様が「どうしても調べてほしい」というならば別途コンサルティング契約(報酬も別途)として、少なくとも「宅地建物取引業」と切り離しておくことをお勧めします。そうしないと、あなたの会社は民事上の請求を受けるだけでなく、行政処分の対象にもなってしまう危険性があるからです。

 

以上から、弊法人においても再建築不可物件の調査及び重要事項説明書の作成依頼の際、上述したレベルでの納品物となりますことをご了承ください。これは宅地建物取引業者である貴社を守ることにもつながるのです(なお、適用できる可能性がある許可・認定基準があれば、内々でのご説明はいたします)。

「重要事項説明書」は法令上の制限等、基本的に売買対象物件のマイナス要素を伝えるものだと思ってください。積極的にプラスになる面も調べ上げ記載する趣旨のものではありません。

十分ご注意ください。

 

重説作成代行は特定の1社に頼らない

ダウンロード過去に物件調査を伴う重要事項説明書や売買契約書の作成をどこかの業者に依頼して、たまたま良い内容の成果品をいただいたら、あなたはおそらく次もそこに依頼することでしょう。

確かに、そんな代行業者は満ち溢れているほどありませんし、その成果物のレベルは未知数のため、はじめてお願いした業者の成果品がたまたま良かったら、「別なところも開拓しよう」なんて普通は思わないのもわかります。

しかし、あなたが良い内容の成果品だと感じているなら、その依頼した業者は他の同業者から見てもおそらく心証は良いはず。

そうなると、また依頼したいときに「既に案件が入っていて今回は受託できません」と言われる可能性が十分にあります。

通常、仲介の場合は買付が入ってから契約までのタイトな日数で重要事項説明書や売買契約書を作成しなければならず、その期間にこれらの書類作成を発注することとなります。しかも、他の仲介業者もだいたい時期が重なります。

もし断られても、その時は自分で作る覚悟があれば良いのですが、依頼をする会社の多くは自社では全く作れるノウハウがないという会社だけでなく、自分で作るよりプロが作った書類で取引の安全や自社の信頼を高めたい、と考える謙虚で意識の高い不動産会社も多く、いずれの場合であっても依頼を断られたら致命的なことでしょう。

そのため、弊法人の場合でも、こちらがいただいた依頼をやむなく断っても根負けさせられる勢いでお願いされるケースが多々あります。

それはこのような仕事をしている我々にとって、本来非常に有難く感謝すべき話ではあるのですが、弊法人ではここ数年、不眠不休の毎日、かつ週末はもちろん年末年始さえも休みが取れない状況です(ただし、弊法人内部で「ブラック」な勤務状況なのは代表者だけで、幸いにも有志で事務処理能力の高い外部調査員に支えられています。)。

「それなら調査員をどんどん募集すればいいのでは?」と、言われることもありますが、この仕事に関してはなかなか「できる」人が見つかりません。そもそも有能な人はとっくにどこかの有名企業の法務部に社員として所属していたり、他の重説作成代行業者で戦力として既に働いており、転職市場には皆無です。

【弊法人でも過去に大手仲介会社で重説を作っていた、という経歴の人を転職サイトから採用したり、「ウチでぜひ働きたい」という人を受け入れ、その意欲に期待し初期投資だけでも200万円ほどつぎ込んでみたこともあったのですが…】

それは私の求めるスキル(こだわり)が高すぎる、ということもあるでしょう。しかし、それだけクライアントを満足させる書類を作るには、そのくらいの強いこだわりをもって人材開拓をしなければならない、という非常に過酷で厳しい職種だと私は認識しています(宅建業者という「プロ」からの依頼を受けて、そのプロに満足していただけるくらいの超絶な「プロ」でなければならない…)。
※だから、5人も10人も調査員がいるような会社は、もしかするとその成果品は期待値に遠く及ばない可能性あり。

話は少し脱線しましたが、要はそれだけ専門性が高く(契約法務実務経験や行政文書作成経験最低10年以上)、人材の確保も容易でないため、既存の重説・契約書作成会社は過少供給な状況です。

よって、いざという時のためにも、少数精鋭の不動産調査代行・重要事項説明書等書類作成会社を2~3社は開拓しておくことをお勧めします。

重要事項説明(読み合わせ)代行は違法‼

画像当事務所では、ときどき下記のような問い合わせをいただくことがあります。

「3日後に不動産売買契約があるのですが、弊社も相手方仲介業者も自社に従事する宅地建物取引士が都合により手配ができません。どなたか宅地建物取引士で重要事項説明書の説明(読み合わせ)を代行していただける人はいませんか?書類はすべてできあがっています。」

これは宅地建物取引業法を遵守するつもりでそのような手配をするのでしょう。

確かに、宅地建物取引業法第35条第1項では「宅地建物取引業者は・・・宅地建物取引士をして、(必要な事項を)記載した書面を交付して説明をさせなければならない。」と規定されています。

ちなみに、「宅地建物取引士」とは宅地建物取引業法第2条第4号に「宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。」と規定されており、これ以外にこの法律では「宅地建物取引士」について定義はありません。

このため、「宅地建物取引士」であれば、他社に従事している人、どこにも従事していない人でもいいのでは、、、と思う人もいてもおかしくはありません。

しかし、当該取引にかかる重要事項説明ができる人は、その取引の売主である宅建業者またはその取引にかかる仲介業者に従事する宅地建物取引士に限られます

このことについては宅地建物取引業法に明文の規定はありませんが、この法律の全体をしっかり見てみると、(重要事項説明の代行というものが)「違法」であると普通に解釈できることがわかります。

まず、一般的な重要事項説明書の書式では冒頭部分に当該取引に関係する宅地建物取引業者名と「説明をする宅地建物取引士」を記載する部分がありますが、ここには当然、当該取引に関係する宅地建物取引業者に従事している宅地建物取引士の記名・押印が必要であることは自明でしょう(「専任」でなくても構いません)。そしてその者によって説明がなされなければならないので、いくら宅地建物取引士であっても「説明をする宅地建物取引士」欄に記名・押印がない者が(いくらピンチヒッターであったとしても)説明することはもちろんできません。

次に、宅地建物取引業法第48条第1項では「宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。」と規定されているため、当該取引に関係する宅地建物取引業者に従事している宅地建物取引士についても従業者証明書を携帯させる必要があり、※これができない(従業者ではない)のであれば、まずはこれをもって「違法」という扱いとなります。

※普段から貴社の従業者でもない人に、その日だけの従業者証明書を持たせ「(貴社の従業者である)宅地建物取引士」になってもらい、重要事項説明書冒頭の貴社欄の「説明する宅地建物取引士」に記載することは、後日に残る重要書面となるがゆえ、必ず証拠として残ってしまうので絶対にしないでください(買主がその他の不満がもとに、重要事項説明書を持参し宅建業法所管の窓口に相談へ行かれたら、これを理由に監督処分を受けることになります…行政処分って、買主の不満についてそのまま理由ありとして発動することはほとんどなく、これをきっかけにアラを探されて宅建業法違反を見つけ出され処分してくるものなのです)。

よって、宅建業法を守るためにこのような段取りをしても、これらについて守られていないようであれば、仮にどこかの「宅地建物取引士」を手配したとしても従業者証明書の携帯、従業者名簿の備付等の義務違反には少なくとも問われることとなり、一般消費者の通報などによって監督行政庁から指示または業務の停止処分を受けることがあります。

 

では、適法に当該取引に関係しない宅地建物取引業者の従事者である宅地建物取引士によって重要事項説明を行わせるにはどうしたら良いでしょうか?

⇒それはその取引士が従事する宅地建物取引業者を共同仲介業者(あんこ)にすることです!

この業者を重要事項説明書冒頭(免許・供託情報欄)に他の宅建業者と同様に併せて記載し(欄が足りなければ別紙にして)、「説明をする宅地建物取引士」のところに本当に説明する宅地建物取引士の氏名等を記載するのです。

こうすれば形式上違法にはなりませんが、当然「あんこ」となると、仲介手数料を「説明をする宅地建物取引士」を提供した宅建業者にもそれなりに分けてあげなければなりません(ただし、責任も共同責任とさせることができます。)。また、そもそも当該物件の概要も把握していない者による即席の重説読み合わせは、宅地建物取引業法第1条の「・・・その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする。」の趣旨に反してしまい、ひいては一般消費者から信頼を失うことに繋がることから、これも回り巡って何らかの違法行為が発覚される引き金となってしまうことに繋がりかねません。

契約日当日に宅地建物取引士が不在とならないよう、社内で資格取得を奨励していくことが望ましいかと思います(ちなみに、当事務所関連会社は、全員宅地建物取引士の有資格者です)。

仕事が早い人は本当にできる人!?

fukugyo206140004_TP_V4大抵の職種においては、仕事が早い方が遅い人より重宝されます。

確かに、仕事が早い人は頭の回転が速い…

【ちなみに、私はサラリーマン時代、仕事が遅く上司によく窘められていました。】

 

しかし、今私が独立して物件調査や契約書類の作成をしてみると、この仕事に限っては「仕事が早い人」は仕事ができない、と言うことに気が付きました。

私がレビューすると、穴だらけ。誤字脱字はもちろん、文章も意味不明。読み合わせをする宅地建物取引士やそれを聞くエンドユーザーのことなど全く無視。やっつけ仕事感が半端ない…

つまり、全く「調べて、考えて、配慮して」仕事していないのです!

 

私はいつも言っていますが、「不動産」は世の中2つと同じものはないのだ、ということ。

先日も、世田谷区の2つの物件調査で、わずか10mしか離れていないにも関わらず、法令上の制限だけでも大きな違いが沢山ありました。

それだけ、物件調査や重要事項説明書、売買契約書の作成は高度な注意力を要する難しい仕事なんだと。。。

 

パターン化できる仕事なら早くこなせる人の方が有能と言えるでしょう。

でも、こと物件調査やその内容を反映させた書類作成には、許される限りにおいて時間をかけて、調べながら、考えて、思いやりをもって作業をするクセをつけてください。

 

重要事項説明書や契約書の特約などの作成を、遅くとも一泊二日で(現地・役所調査1日、起票1日)できないようなら失格、なんてくれぐれも思わないように…

それを急がせる、または、早く仕上げることを有能と解する上司または経営者は利益至上主義の「バカ」なんだ、と思ってください。

知識や実力が身についているのであれば、逆に沢山の論点が「バァー」っと、開けて見えてくるものなのですよ。

※例えば、対象地に擁壁があっても平気でスル―していませんか(がけ条例や建築基準法、都市計画法、宅地造成等規制法、土砂災害防止法などの規制がすぐに頭をよぎらないようではダメですね)。
 ほかに、前面道路が高い位置にあり、低い敷地に接道させるために取付階段が設置されている場合→道路占用許可の要否、排水面で問題はないか等について考えていますか?

なので、十分な時間が与えられているようなときに、むしろその時間を持て余しているような人は逆に能力不足だと自覚することです(「自分は頭がいいから」、なんて勘違いしないように)!

 

とにかく、この仕事は何より「探求心」を持つことが大事。

それだけ、「不動産」はアカデミックでインテリな仕事、ということに誇りをもって真摯に取り組んでいただきたいです。

そのあなたの「こだわり」が最終的に取引の安全性を高め、一般消費者の保護はもちろん、取引関係者を皆ハッピーにさせるものなのですね。

大臣免許業者の書類レビュー能力について

ダウンロード売主が宅建業者で貴社が一般エンドとの間に立ってその仲介をする際に、重要事項説明書及び売買契約書の作成をその売主業者から依頼されることが多いかと思います。

そうなると貴社は売主業者から税込3%の報酬を頂くことが一般的なので、それをやむなくやらざるを得ませんね。

でも、私が思うに重要事項説明書の作成は本来物元か、売主業者がドラフトを作成すべきだと思っています。

物件のことを一番知る立場の人がドラフト作るの、当然だと思いませんか?

客付けしただけでもその仲介業者に感謝すべきだと思うのですが。。。

 

まあ、それは置いたとしても、仲介さんが一所懸命役所調査をしたドラフトに、誤字脱字があった場合は別としても、いかにも上から目線で修正させる、という売主業者はどういう自信もしくは根拠でそうさせるのでしょうか?

「(ウチの会社の法務部によるレビューでは)ココとココの修正をしていただかないと決裁されず、契約できない」、と。

 

実は、そんな重説のドラフトを作っているのは私だったりすることもあるんですがね~。

 

街の不動産仲介会社に重説・契約書を作成させておいて得意げに修正を求めているようですが、元国土交通省宅建業法所管の私からすれば、本当にそのご指摘、笑えます!

 

例えば、最近施行された水害リスク情報の重要事項説明への追加について、全日(ウサギ)及び全宅(ハト)の様式では水害ハザードマップが有か無かをチェックしなければならない項目がありますが、私は雨水出水(内水)及び高潮のハザードマップは「無」としました。ところが、このことについて、

「内水ハザードマップは現にあるでしょ、なんで「無」にチェックなの?(ウチの法務部のリーガルチェックは凄いから…)」

というご指摘がありました。

 

でもこれは、水防法(第15条第3項)に基づくハザードマップがあるかどうか、という意味なので、水防法第15条第3項に基づかないハザードマップの場合は「無」にチェックを入れなければなりません。。。

当該市町村が任意で作成した、または、住民の通報によって作成したような浸水実績図のようなハザードマップについては、「無」となるのです!

また、水防法第14条に基づくハザードマップ(例えば、東京都が作成している「高潮浸水想定区域図」)であっても、宅建業法では水防法「第15条第3項」のことを水防法に基づくハザードマップとしていますので十分注意してください。

ちなみに、そのハザードマップについて「無」と記載した上で、それらのハザードマップの内容を伝えることは(行政として)むしろ望ましい、ということにはなります。

役所調査の際には、必ず「公開されているハザードマップは、水防法第15条第3項に基づく洪水、雨水出水(内水)、高潮でしょうか?」とまずは聞くようにしましょう!

水防法(第15条第3項)に基づかないハザードマップを「有」とするのは宅建業法違反に繋がりかねません。

以上の法改正については、国土交通省のHPでこの件に係るQ&Aが公表されているので、ぜひ勉強してみてください!

 

さらに、こんな指摘もありました。

対象不動産の存する地域は確かに「特定都市河川浸水被害対策法」における指定流域内でありました。

しかし、私はこの法律について、「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限」の項目でこの法律にチェックマークをしませんでした。

これはさすがに私が誤っていると思いの方、いらっしゃるでしょう。

 

でも、この法律の規制対象は、取引対象となる土地の面積が1,000㎡以上、または、開発行為等により設置された雨水貯留浸透施設がある場合の一定の行為に対し、知事等の許可が必要となる内容です。

そうなると、今回の取引対象となる土地の面積はわずか120㎡しかありませんし、また、雨水桝はあるものの、これをこの法律でいう「雨水貯留浸透施設」があるとは言わないのです。

 

こういう場合はいくらその区域内に対象不動産があったとしても、政令(宅地建物取引業法施行令第3条)で規定する「当該宅地又は建物に係るもの」と言えないので、本来チェックを入れるべきではないのです(まあ、入れてもダメではないですが、買主に余計な不安を煽るだけです)!

そうでないと、区分マンションの一室の売買でも、国土利用計画法や公有地拡大推進法などにもその土地全体の規模によってはチェックを入れなくてはならないことに繋がりますよね。

それと同じです。よく考えましょう!

 

なら、景観法なんて「一定規模の取引には届出が必要」ということでその届出規模以下だからチェックは不要なの?

と言われれば、これは違います!

届出は不要、なだけで、その規制が区域全体に及ぶことが一般的なのではないですか。

 

また、航空法なんて、例えば高さ制限が152mなんて当該不動産に関係ないから、これもチェック要らないよね。

⇒これは確かにそんな高い建築物は用途地域や高度地区で制限されていて建つことはできないでしょうが、航空法が適用される地域は少なくとも航路であると言えるので、騒音などが発生する可能性が高い地域なのです。

こういう場合は例外ですが、航空法にチェックマークをして注意喚起をお伝えすることが望ましいでしょう。

 

そういう訳で特に売買の重要事項説明書の作成は高度な法的思考力が必要となり、難しいですね。

大臣免許業者でもその程度のレベルで作成しているので、間違いとして指摘されても堂々と反論できるくらいになれるよう、勉強していきましょう!

 

本件については、私に重要事項説明書の作成をご依頼いただいた仲介業者様に売主様(大臣免許業者)が修正に応じるよう圧力をかけられ、最終的に不本意ながら修正に応じざるを得なかったそうです。

仲介業者さんにおかれては、自信を持ってご自身が正しい調査の結果を反映させた成果物だと思ったら、意にそぐわない修正を求められた場合、その売主業者から一筆もらっておいた方がいいと思います。

これは最終的に共同責任となりますことを十分ご承知いただき、ぜひご自身の会社を守ってください!

区分マンション重説義務違反例

謝罪以前、当サイトに「区分マンションの重説作成は本当に簡単ですか?」というタイトルのコラムを投稿させていただきました。

ご覧になっていただけましたでしょうか。

そこで、今回は区分マンションの重要事項説明義務違反により、仲介業者が損害賠償請求を受けてしまった実際の事例をご紹介いたします。

なお、これは判例や先例ではありません。あくまで当社を頼りに相談に来られた方からの(ここにしかない)個別解決事案です。

 

相談者は独身の女性の方で、とある大手の仲介業者から区分マンションの斡旋を受け、契約しました。

しかし、引渡しを受けて住み始めてから重要な事実を知ることになりました。

なんと、購入したマンションには駐車場が対象住戸に付随する専用使用権となっている(大変珍しい)ものであり、毎月その専用使用料を管理組合に納めることとなっていたのです。

ちなみに、この相談者は自動車を保有していません。今後も自動車を購入する予定もない、とのこと。

 

一般的な区分マンションでは、駐車場は対象住戸に付随する専用使用権となっておらず、空きがある場合に先着順や抽選などによって管理組合と駐車場使用契約を結び、その対価として使用料を払います。

当然、自動車を保有していなければ、駐車場使用契約を結ぶ必要もなく、よって、月々のその対価は発生しません。

ところが、対象住戸に付随する専用使用権としての駐車場では、自動車を保有しようがしまいが、毎月その専用使用料が発生し、管理組合に納めなければなりません(その専用使用料は近隣の駐車場の相場より安い、というわけでもありません)。

自動車を保有している人にとっては最初から「駐車場付きの区分マンション」としてとてもメリットなのですが、自動車を持たない人にとっては有り得ない大きな負担です。

 

相談者から売買時の重要事項説明書を見せてもらうと、これらのことが一切記載されていませんでした。

おそらく、仲介業者が故意に記載しなかったのではなく、管理会社から交付を受けた重要事項調査報告書や管理規約集の読込が甘く、見落としていたのだ、と思います。

 

私はこれは明らかな重要事項説明義務違反と判断し、その仲介業者の免許権者(関東地方整備局)に相談するよう伝えました。

相談者は、その後関東地方整備局に行き、この事実を伝えたところ、やはり役所も重要事項説明義務を満たしていないと思ったらしく、その仲介業者に電話を入れ、まずは民事的に解決を図り、その顛末を報告するよう求めたようでした。

ちなみに、行政は(欠格事由に該当した場合を除き)業者に易々と指導や処分を行うことはせず、また電話一本入れることも非常に躊躇します(民業圧迫につながりかねないため)。

ただ、本件は見過ごすとむしろ行政の不作為を問われかねないと判断したのだと思います。

 

さて、行政から電話が入った仲介業者と本件相談者との間で話し合いが始まりました。

私はこの場合、どのくらいの賠償請求が妥当なのかについてはわかりかねるので、私の顧問弁護士を相談者に紹介しました。

交渉代理を依頼するのではなく、あくまでいくらくらいの請求が妥当なのか、だけを聞くように…と。

 

その結果、仲介手数料は全額返金 + 賠償金額は1,150,000円くらいは取れる(駐車場を専用使用権のない区分所有者に賃料を取って貸すこともできることで損害と相殺できることも勘案)という弁護士見解が得られ、これをもとに相談者自ら仲介業者に交渉した結果、訴訟に発展することなく本事案が解決されました。

 

ただ、仲介業者からしては大きな損失であったことでしょう。その後の(相談者に対する)誠意ある対応で行政処分に発展しなかったのは唯一の救いでした。

以上、区分マンションの重要事項説明書作成は本当に難しい、怖い、と認識できた相談事例だったのではないでしょうか。

ぜひご参考になれば幸いです。

「建築物」と「建物」の違い

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みなさま、『建築物』と『建物』の違いについて考えたことありますか?

「別に言い方が違うだけで、意味は同じだろ!」なんて、確かに一般の方ならそれでもいいかもしれません。

しかし、不動産事業者や金融機関の人がこれらを一緒くたにしているようでは、プロではありません。

おそらく「この『建物』は容積率オーバーだ」なんてことを平気で口にしている方が多いのではないでしょうか。

この場合に使用するのは正確には『建物』ではなく『建築物』となります。

もちろん分かっていたとしても、多くが『建築物』を『建物』と言ってしまいがちになるのは私も同じです。

 

ところで、建築基準法では『建築物』という用語はありますが、『建物』という用語は出てきません。

逆に、不動産登記法では『建物』という用語はありますが、これを『建築物』とは言いません。

それぞれの法律で使用される用語とその定義が異なっているのをご存知でしょうか?

 

『建築物』とは、建築基準法第2条で「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。」

 

『建物』とは、不動産登記規則第111条で「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」

 

つまり端的に言うと、土地に定着性し屋根と柱があれば『建築物』、それに壁があると『建物』ということになり、おおよそ『建物』より広い概念が『建築物』と言える気がします(一部その逆もあるようです)

例えば、右上の写真のような駐車場のカーポートは『建築物』ですが、『建物』ではありません。

※ちなみに、壁がなくても『建物』と認定される場合があります。不動産登記事務取扱手続準則第77条第1号イでは、「野球場又は競馬場の観覧席。ただし,屋根を有する部分に限る。」とあり、用途性も考慮の対象となる場合があります。

 

では、なぜ『建築物』と『建物』を明確に区別して意識する必要があるのでしょうか?

それは、『建築物』と『建物』では面積の算入方法が異なるため、違法建築物と言えるか否かの判断にとても重要だからです!

 

駐車場のカーポートは『建物』ではないので、登記簿上の床面積への算入はゼロとなりますが、『建築物』ではあるので建築確認を受ける際にはその一部を建築面積として家屋と共に建築面積に算入します。

また、軒下やバルコニーの下も『建物』ではないので、登記簿上の床面積への算入はゼロとなりますが、その部分の一部は『建築物』となることがあり、その際は建築面積として算入しなければなりません。

さらに、一階部分全体がピロティの場合、『建築物』として延べ(床)面積に算入しなければならないこともありますが、『建物』としては認定されず登記簿上の床面積算入からまるまる除外できる場合もあり、階数そのものが建築確認と登記記録では異なることさえあります。

※『建築物』の床面積及び階の取扱い…ピロティの場合、「十分に外気に開放され、かつ、屋内的用途に供しない部分」については延べ(床)面積に算入しない扱いとなりますが、自動車車庫・自転車置場・倉庫等として利用する場合には、屋内的用途に供するものとして、当該部分は延べ(床)面積に算入します(通達「床面積の算定方法について」昭和 61 年4月 30 日建設省住指発第 115 号)。

 

よって、建ぺい率・容積率の計算において違法建築物または既存不適格建築物を判定するには、不動産登記法でいう『建物』の登記された床面積に基づいて計算するのではなく、建築基準法でいう『建築物』の建築面積または延べ面積で行わなければなりません。

この場合、役所で建築計画概要書の写しや台帳記載事項証明書を取得して確認するか、不交付や記載がなければ建築物の所有者に建築確認申請書の控えや検査済証があるかどうかを尋ね、保管されている場合にはその内容を確認することが必要です。

また、登記簿上の土地面積と建築確認の敷地面積が大きく乖離していることもあり、これによって算出する建ぺい率や容積率が大いに異なることもあります。

 

登記簿上の土地の地積や建物の床面積で建ぺい率や容積率を計算して安易に違法・適法を判断せず、きわどい場合は測量士や土地家屋調査士、建築士などにも相談して安全な取引に努めましょう!

重説契約書作成代行業者への責任追及

ダウンロード当事務所及び当事務所が設立した法人は、物件調査や重要事項説明書、契約書の作成支援につきまして、最近では大手仲介業者様からも商談の申込をいただくようになりました。

 

ところが、(常識ある一般的な企業様にはありえない話ではありますが)大手仲介業者様からの商談では、「納品いただいた重説・契約書のドラフトで万一トラブルが生じたときは、損害の求償をしたい」というご要望をいただくことがあります。

もちろん、我々は全力で取引の安全を守るべく慎重に仕事はしています。

「それでも自社に(調査会社の失態が原因で)賠償責任が生じれば、(調査会社に)賠償を求めたい…これが我が社の経営者の視点・スタンスである」、と主張されます。

まあ、言いたいことはわたしも過去労働者の時期があったので少しはわかりますよ。

 

ただ、私が思うにこれではサラリーマン的な、相手から「してもらう」だけの発想、権利権利、ひいては「くれくれ病」ですね。

大企業は出世の延長線上が「経営者」です。なので、いくら大企業とはいえこのサラリーマンの延長線上にいる人間はいわゆる一から自分で立ち上げてきた本来の「経営者」のマインドに遠く及ばないものと思料します。

リスクは取りたくない、でも、大きな利益を上げたい…

そして往々にして横柄、取引先はあくまで「下請け」であり、常に我が社の支配下にあるべき…と。

 

ちなみに、私の取引先である既存の事業者様は大手を含めこんな貧しい発想の方はいません。

普通の経営者なら「2択」であること、わかっています。

ビジネスはハイリスク、ハイリターンか、ローリスク、ローリターンしかないと。

リスクとリターンの関係はトレードオフなんです。

(サラリーマン経営者は)大企業では安い費用で(下請けを使って)大いに儲けたい、でも、リスクは(下請けに)おっ被せたい、なんてことを本気で臨んでいるような経営者が多いから社会問題にもなっていますよね。

こんな状況で「コンプライアンス」なんて、本当にクソくらえ、ですね。

小さい会社なら、こんな考えをする経営者は起業後5年以内に淘汰されてしまうものですよ。

 

いくら我々も高度なスキルがあるとは言え、数千、数万の案件を扱えば地雷に当たる可能性は否めません。

そもそも、ウチはわずか10万円程度の報酬ですよ。

しかも、物件価格に関わらず一律料金です。

そんな我々に何かあれば損害賠償を求める、なんて求められても対応できるわけないですよね(もちろん、いただいた報酬くらいは返金します。)。

まだ我々の業種は事業者保険もありませんし。

仮にこれに対応できる保険商品ができたとしてもその保険料は決して安くはないでしょう。

いずれにせよ、何かあった際に我々に責任転嫁を求めるなら、貴社が受け取る仲介手数料の最低半分くらいの報酬を毎回いただくことが必須となります。

 

事業を行うということは、恩恵相当のリスクがあることをまずは自覚すること。

 

低価格で高品質な調査&重説のドラフト作成の恩恵を受けて利益を上げることができたのならば、逆にいざというとき自身が腹をくくる覚悟もないような会社とは我々としても商談において一切の譲歩・妥協はできません(そもそも宅建業者は事業者保険ありますよね。)。

少なくとも、超大手だけは今後アプローチがあったとしても商談を避けていきたい、と思った次第です。

 

「公拡法」を見逃すと大変なことになりますよ

a0001_018098公有地の拡大の推進に関する法律、通称「公有地拡大推進法」または「公拡法」とまで略される法律ですが、仲介業者がこの法律にかかる調査をすっかりスルーし重要事項説明書の記載を失念してしまうと、それに気づかず届出をしなかった売主に50万円以下の過料が課されることがあるのです。また、携わった仲介業者が重要事項説明義務違反による行政処分を受けてしまうことがありうるほど無視できない法律であることをご存知でしょうか?

しかし、「公拡法」なんて宅地建物取引士試験で出題されないことはもちろん、最近では不動産鑑定士試験からも試験科目から外されたほどですので、不動産物件調査で意識するほどの注意力を持たない調査員も多いかと思います。

では、どんなときに「公拡法」を意識しなければならないか、その要件を確認してみましょう。

1 届出の必要な土地の取引について
 次の(1)及び(2)に掲げる一定面積以上の土地を有償で譲渡しようとするとき(売買や交換など)は、譲渡しようとする日の3週間前までにそのことを「土地有償譲渡届出書」により知事に届け出る必要があります。
(1)次に掲げる土地が含まれる土地取引で、土地の面積が200㎡以上のものを有償で譲渡(売買など)しようとする場合
    ア 都市計画施設等の区域内に所在する土地
    イ 都市計画区域内のうち、道路法により「道路の区域として決定された区域」、都市公園法により「都市公園を設置すべき区域として決定された区域」及び河川法により「河川予定地として指定された土地」等
   ウ 生産緑地地区の区域内に所在する土地
(2)上記1を除く都市計画区域内の土地で、次に掲げる土地を有償で譲渡(売買など)しようとする場合

ア 市街化区域5,000㎡以上
イ 「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」に定める重点地域の区域5,000㎡以上
ウ ア及びイを除く区域(※ 市街化調整区域を除く)10,000㎡以上

 

なんだ、やはりこんな土地取引はほとんどないね、と思っている方。

しかし、たとえば都市計画道路の新設や道路法に基づく拡幅、都市計画公園などの区域内に対象地の一部でも入っている場合(計画決定のみの場合でも)、取引対象面積全体が200㎡以上であれば「公拡法」の適用を受け、事前届出が必要になるのです!

ただし、事前届出と言っても実務上では停止条件付で契約を締結してから、引渡までに回答、または回答に値する確認が得られてから決済、という流れになることとなります。

よって、一括決済や契約日から短期での決済スケジュールは組めないことに注意してください。

 

今まで都市計画施設の区域内なら、都市計画法第53条及び第54条のみ特記すれば足りる、と安易に考えていた方。今後は面積にも意識してそれに該当する可能性のある物件と判断したら、都市計画担当者以外にも用地関連の担当者に「公拡法」について確認しておくことが重要です。

区分マンションの重説作成は本当に簡単?

a0001_016716私は不動産売買における重要事項説明書の作成を宅建業者の立場で支援する仕事をメインにしています。

そこで意外にも一部の宅建業者から「区分マンションの取引は非常に安全だし、重要事項説明書の作成も簡単だから山地さんに支援してもらうことはないよ。」という方がいます。

別に私に依頼する、しないは構いませんが、本当に区分マンションの取引は安全で、重要事項説明書の作成も簡単なんでしょうか?

私は逆だと思います! 区分マンションの取引は一歩間違うと更地や戸建と同等以上のリスクがあります!だから、重要事項説明書の作成もとても大変なのです!!

その調査及び作業量は、更地や戸建の2倍近くになります!

正直、ウチの事務所では区分マンションの重要事項説明書の作成支援はあまりに割が合わず敬遠したいくらいです。

まず、更地や戸建と同様、役所や現地で行う物件調査はほとんど同じレベルの調査量が必要です。

さらに、区分マンションには特有の調査があります。それは、マンションの管理に関する項目です。

共用部分を管理する管理会社があるのなら、そこにお金を払って重要事項調査報告書、管理規約集及び議事録などを取り寄せ、それをしっかり読み込んでいかなければならないのです。

不明な点があれば、管理会社の担当者に電話をしてヒアリングします。

また、自主管理マンションでは管理組合の理事長や会計担当者から粘り強くインタビューしなければなりません。

 

このため、その労力は大変なものです。

しかも、買主にとってはマンションの管理に関する項目が一番生活に密着するため、重要事項説明書の記載には間違いが一切許されません。

 

区分マンションは楽勝だ、という宅建業者または営業マンはこういうことの責務を認識していない人がほとんどだと思うのです。

そもそもそういう人は読込が甘いのが特徴で、トラブルになるのは時間(件数)の問題です。

例えば、一括受電方式を採用しているマンションの場合、電気の小売事業者を購入者が好きなように選べません。

光熱費を少しでも節約したいと考える買主にとっては購入に関わる大きな判断材料になることをご存知でしょうか?

また、事務所やSOHOとして利用する前提で購入しようとしているにもかかわらず、「住宅以外の使用は不可」を見逃し、このことを重要事項説明書に記載していないケース。

さらに、区画整理や大規模修繕工事の一時金徴収が近く予定されていることを調べ上げていないケースなど。

 

よって、区分マンションには円滑な不動産取引を阻害する、より多くの地雷が潜んでいる可能性がある、というくらいの気持ちで取引に望むことが重要です。

決して「区分マンションだから重要事項説明書の作成は簡単」だと思うことは禁物ですよ。

民事上及び行政上(監督処分)の責任を追及されることになるかもしれません。

 

貴社の「免許年月日」は間違っていませんか?

私は宅建業の免許申請を始め、売買重要事項説明書の作成代行も業として行っています。

そうすると、多くの宅建業者様は自社の「免許年月日」を間違って覚えている、という事実に気が付きました。

例えば、平成27年5月2日~平成32年5月1日までの5年の免許有効期間であるとするならば、免許年月日はあなたならいつだ、と解釈していますか?

「免許年月日は平成27年5月2日」と思われた方、→ 間違いです!

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免許の有効期間の前日である「平成27年5月1日」が免許年月日となるのです!

つまり、免許年月日は初日不算入により、その翌日から免許の有効期間となります。

免許の更新の際も同じこと。

上記の例では最初の免許年月日が平成27年5月1日なら、更新時の免許年月日は免許の有効期間「平成32年5月2日~平成37年5月1日」の始期の前日である平成32年5月1日となります。

よって、業者票の記載はもちろん、重要事項説明書の該当箇所の記載にも今後は十分留意してください(業者票では「免許年月日」ではなく「免許有効期間」を記載することになっていますが、ここでは「免許年月日」を始期としている会社があります。また、全宅や全日の重要事項説明書様式では「免許有効期間」ではなく、「免許年月日」を記載することになっているため、免許有効期間の始期を免許年月日欄に記入している例を多く見かけます)。

ちなみに、2019年には「平成」の元号が変わることが確実なため、業者票における免許有効期間は西暦表記にしても差し支えないものと考えます。

免許権者に必ずご確認ください。

 

重要事項説明は契約の数日前までに終わらせる

宅地建物取引業法第35条第1項では、「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして…書面…を交付して説明をさせなければならない。」

と規定されています。

このため、「契約が成立するまでの間に…」という文言を都合よく解釈し、概ね契約締結の当日であるその直前に読み合わせを行っているのが貴社のルーチンとなってはいないでしょうか?

買主は重要事項説明を契約前のセレモニーと感じて半ば諦めていらっしゃる人も多いようです。

しかし、この契約当日に重要事項説明を行う、ということがトラブルの最大の要因なのです!

売主及び買主に契約直前に重要事項説明を行ったところで、特に買主はそれをすべて了知したと思いますか?

説明を受けてクールダウンもないまま、契約書の署名・捺印をすることになるのです。

そうなると、どうでしょう。買主は後日冷静になって重要事項説明書を読んだとき、突然翻意することがあるのです!

既に契約は締結済み、ですが翻意した買主にとってそんなことは関係なし。

そこで仲介を担当したあなたはどう言って説得しますか?

204bdfe11381815405dfbe2955ef14c0_s良くても解約手付についての賠償責任は負うことになるでしょうね。

だから、重要事項説明は契約の数日前までには終わらせなければならないのです!

ウチの事務所は物件調査、重要事項説明書及び売買契約書の作成代行を行っていますが、多くのクライアント(不動産仲介業者様)が契約直前になって当方にご依頼されます。

調査の結果、大きな問題が見つかり、契約がご破算となったケースがいくつかあります。

そうなると、その契約の関係者すべてがアンハッピー、私はそれでも必ず報酬をいただきますが、とても心苦しいのです。

いずれにせよ、買主に翻意されないよう契約を焦ることよりも、契約後買主に翻意される損害の方が契約当事者や関係者は遥かに大きな痛手を負うことになるので、調査と重要事項説明書の作成にしっかり時間をかけられるだけの余裕、スパンが必要です。

多くは物元が重要事項説明書を作成すると思いますので、物件を預かった段階ですぐにしっかり調査をしておきましょう!

こんなこと、決して他人事ではありません。数うちゃ必ず一定の確率で貴社にも回ってくる災難であることを肝に銘じていただきたいと思います。

 

不動産調査会社の種類

9392309e19a0ad837bfb167f88796ed5_s「不動産調査」と入力して検索すると、たくさんの会社がヒットしますが、

これらはすべて同種同類ではありません。

おそらく、下記4種類程度に分けられるのではないでしょうか?

鑑定業者系…不動産鑑定士事務所または大手不動産鑑定業者が行うもの。不動産の価格査定に伴うデューデリジェンスです。

土地家屋調査士系…土地家屋調査士が行うものは主に測量に関する調査です。

補償コンサルタント・建築士系…ホームインスペクションなど、建物調査を主としています。

行政書士系…不動産売買に係る重要事項説明書を作成するための不動産調査です。契約書などの書類作成を伴うことから宅建業法等に明るい行政書士が行っていることが多いです。

 

よって、依頼するご自身が何を目的としているかによって、不動産調査会社の依頼先が異なることにご注意ください。

例えば、価格の妥当性・目線が知りたいのであれば鑑定業者系を選ぶこととなります。これは鑑定業者でしかできません(行政書士や宅建業者は価格の査定で報酬をいただくことを業にすることは不動産の鑑定評価に関する法律に抵触するため)。

ところが、重要事項説明書の作成を依頼するような場合は、鑑定業者系では不動産調査のノウハウが異なります。大手鑑定業者は全国津々浦々にフリーランスの調査員と提携しているので、遠方の不動産調査を任せたい、と思うことがあるかもしれませんが、主婦や資格試験受験生、銀行OBといったレベルのため、仮に受けてくれても結局それなりの金額を請求される割には、貧相な成果物を納品され、結果的に使い物にならない可能性があります。

 

なお、当事務所は④の行政書士系で、重要事項説明書の作成を前提とした不動産調査をしています。このため、宅建業者様のニーズに一番適しているサービスではないでしょうか?

特に、当事務所の場合は、宅建業法を所管する行政経験、司法書士事務所での登記実務経験、不動産鑑定業者での鑑定実務経験、金融機関での担保評価経験などもあるため、幅広いコンサルティングも併せて行うことが可能なので、特に売買仲介のご経験が浅い宅建業者様やコンプライアンスを意識する宅建業者様などから高い信頼と評価をいただき、年間調査受託実績も増加の一途です。

ぜひ一度お問い合わせください。

 

登記情報とプライバシー問題

a0002_001029ご承知のとおり、登記記録の情報はその利害関係にかかわらず、だれでも取得することができます。

このため、個人情報保護法の適用外である、と認識している方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、「不動産業における個人情報保護のあり方に関する研究会」報告(不動産流通業における個人情報保護法の適用の考え方)平 成17 年 1月(改 正:平 成 24 年 6月)を見てみると、

Q15.A『公開されている情報であっても個人情報に該当しうる。不動産登記簿や固定資産課税台帳に記載されている情報は個人情報であり、これらの個人情報を取得した場合には利用目的の公表や本人への通知が必要である。
しかし、例えば、仲介の依頼を受けた不動産取引に際しての重要事項説明に使用する目的でのみ不動産登記簿や固定資産課税台帳に記載されている個人情報を入手した場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当するとして利用目的の公表等を不要と解することは可能である。』

と明記されているため、登記情報は立派に個人情報であり、かつ、個人情報保護法の適用範囲内であることがその後の文面でわかります。

ただし、個人情報とはいえ売買や賃貸借の当事者以外の登記情報は各事業者においてデータベース化(検索できるように体系的に構成)していないことが大いに予想されるため、これに当たる場合は個人情報保護法の一部が適用外となる可能性があります(個人情報データベース等を構成しない個人情報のみを取り上げれば「個人情報取扱事業者」に該当せず、その者の行為は当該法の適用外と考える人もいます)。

例えば、売買契約時に隣地登記事項証明書を買主に交付するとき、隣地所有者をデータベース化していなければ当該隣地所有者に法で定める通知や同意を得なくても抵触することはない、という解釈がそれです。

 

では、仮に個人情報保護法に抵触しないとすれば、事業者は一切その管理に何の責任も問われることはないのか。

⇒ プライバシー侵害に基づく損害賠償請求を受けることがあるかもしれません。

 

個人情報保護法は行政法規であると考えられるため、その規定に違反した場合は、監督官庁(不動産業の場合は国土交通大臣)が指導や処分を行います。逆に、当該法の適用外であればそのようなことを受けることはなく、相手方や周りが何を言おうと問題にされることはありません。

しかし、事業者のずさんな管理によりプライバシーを大きく侵害された人がいた場合には、民事上の問題として裁判沙汰になってしまうことがあり得るのです。

 

したがって、不必要な登記情報等個人情報の取得及び頒布はしないよう心掛け、既に社内で保有している個人情報については、データベース化しようがしまいが、その利用目的を常日頃から意識してその管理には細心の注意を払うことが求められます。

不動産調査・重要事項説明書作成の盲点

ブロワ不動産売買の仲介において避けられないのが不動産物件調査のスキル。

とは言っても、大手仲介業者に勤務した経験がない場合、正しい指導に基づいた研鑽を積む機会がなかなかありません。

ならば、そんな機会に恵まれなかったことを理由に、いい加減な調査で重要事項説明書を作成しても万一のときに責任は免除される、というはずがないことを宅建業者ならご理解していることと思います。

 

ではまず、汚水・雑排水の調査を例に取ってみましょう。

汚水・雑排水の調査では、市役所の下水道課で下水道台帳の写しを取得することが大前提となります。

そこで台帳の写しを取得したらオシマイ、と言うほどレベルが低い業者はさすがにいないとは思いますが、当該台帳の写しの交付をいただいたあと、必ず、担当課の職員に前面道路内の配管は公設管であるかどうか、そうである場合には管の口径はいくらか、桝の位置や取付管の口径、分流式かどうか、分流式の場合は、雨水の排水先はどこか等を聞いてください。

前面道路が私道の場合は、時に前面道路の配管が公設管ではなく、共有の私有管になっている場合があります。

 

ただし、今回はその程度のレベルのことを深く解説するつもりはありません。

実は、意外によくあることですが、特に共同住宅(アパート)の場合、前面道路内に公共下水道が完備されているにもかかわらず、いまだに浄化槽を使用しているというケース。

 

確かに戸建住宅に比べ、その切替費用は莫大なものになるため、そのような状況もやむを得ないかもしれません。

 

ちなみに、下水道法第10条では、「公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。(以下、略)」と規定されています。

なお、浄化槽の使用継続はこの「特別な事情」として許可しない自治体が多いのが実情です。

 

この場合、浄化槽を使用し続けることが違法となること、管轄行政庁から改善指導を受ける場合があること及び改善指導に従う場合には費用(浄化槽の撤去、公共下水道への切替工事、下水道使用料の発生等)がかかること等を必ず重要事項説明書に明記しなければなりません。

 

ではそもそも、どうやって公共下水道を使用しておらず、浄化槽を使用していると判明できるのか?

 

現地では、
①ブロワ浄化槽の蓋があるか
②2つまたは3つの連続した蓋(マンホール)があるかどうか
以上を必ず確認してください!

 

この2つがあると、浄化槽を使用している可能性が高くなります。さらに下水道課で負担金の納付記録及び下水道使用料の請求履歴があることも確認し、売主にもヒアリングは必須です。そして点検・清掃・修繕記録を徴求することも忘れずに…

(長い目で見れば、浄化槽の方が汲取等のメンテナンス費用がかかります。買主にはそういうアドバイスをしてあげることがよりトラブルを未然に防ぐことができるでしょう)

 

以上一例を上げましたが、何となく会社で与えられた不動産調査フォーマットに沿うだけの調査で終わり、というほど物件調査は簡単でないことがご理解いただけたでしょうか?

浄化槽を使用しているのに「公共下水道」として重要事項説明書に記載・説明しただけでは後に大きな媒介責任を問われたとしても仕方がないことがわかっていただけたかと思います。

 

万一、当社にはそこまで注意力のある社員がいないという場合は当事務所にアウトソーシングすることを是非ご検討ください。

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協会への年会費を滞納すると免許取消

たかが加入団体の年会費、と考えているのか、再三の納付催告を無視した結果、宅建業の免許が停止または取り消されてしまった、という業者が毎年後を絶ちません。

嘘だと思うのなら下記をご覧ください。

宅地建物取引業者(都道府県不利益処分関係)

○○保証協会の社員の地位を失ったにもかかわらず、当該社員の地位を失ってから1週間以内に営業保証金を供託していない。

 

上記の文言は、所属する協会(全日or全宅)に対し年会費を1年以上滞納したため、行政処分を喰らってしまい、その行政処分の内容とともに免許権者のサイトに公開されてしまったケースです。

クリックすれば一目瞭然、社名も完全丸裸。

 

ちなみに行政処分後に社名や役員を入れ替えても、免許権者のもとで業者名簿を閲覧すれば誰が見てもバレバレです。

 

許認可を甘く見ると大変なことになることがわかりますね。

 

普段はそれだけに大きな信用を享受できるのですから、やることをやらなければ当然の結果と言えるでしょう。

 

 

ところで、宅建業を主たる業務としながら、代表者自身が宅地建物取引士の資格を有しない業者はとても危険です。

 

社内外のリーガルチェックができず、予見できるリスクが圧倒的に狭いため、気づいたらあっという間に会社が潰れてしまうことがあります。

 

宅建業者の代表者なら宅地建物取引士の資格があって当たり前、いつまでも取らなければ従業員やクライアントから足元みられて裸の王様状態(他人は面と向かって言ってくれません)。

 

自分が作った大切な会社を守るためにも、ここは業務に関連する法律を勉強するつもりで宅建試験くらいは数年かかってでも取得してほしいものです。

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情報提供者への謝礼金はいくらまで?

a0002_006822未公開物件の紹介や貸借または売買の相手方を宅建業者に情報提供をし、そのおかげで成約に伴う報酬がこの宅建業者に入金された場合、その情報提供をした者はその明らかな因果関係に基づき成約することができた宅建業者にある程度の対価を求めるか、謝礼をいただくことについてこのこと自体は問題はないものと思料します。

 

ただし、その情報提供行為がエスカレートし、反復継続して営利を目的に行うようになれば、その対価または謝礼を授受すること以前に共同仲介行為としてみなされ、無免許で行うことはできない「宅地建物取引業」に該当すると判定されることがあるかもしれません。

また、授受される金額が売上金の2割以上であれば、受けた方もなおさら立派な宅建業者といえる域である可能性があります。

しかも、高額な謝礼(キックバック)は消費者への経済的損失・裏切りにつながるといえるでしょう。

 

したがって、情報を受けた宅建業者は無免許である情報提供者・紹介者から高額謝礼を求められたら断固として断る勇気が必要です(少額の謝礼は可)。

 

取引に対する責任はすべて書面に記名押印した宅建業者および宅地建物取引士が負わなければならないことをお忘れずに!

 

※私は元国交省宅建業免許担当経験がありますが、現在行政法規の解釈権限はありませんのであくまでそこで培った私見、または問題提起として述べています。心配な方、取り返しのつかないことをしたくない方は事前に国土交通省または免許権者に照会し、必ず言質を取るようにすると良いでしょう。

 

フルコミ営業マンの歩合率の決め方

a0002_007047フルコミッション不動産外交員(営業マン)と業務委託契約を結ぶ際、歩合率をいくらにするか迷われる事業者の方もいらっしゃると思います。

そこで、一つの基準として「会社のツールをどれだけ使用させてあげられるか」という視点があります。

 

①会社を勤務場所として提供でき、電話やコピー機、接客場所等が自由に使える場合…40%程度

②上記プラス「集客」も会社で負担する場合…30%以下

③上記①②の提供ができない場合…50%以下

※上記①~③の見解を改めました!

 

以上はあくまでも私の個人的な意見です。これに拘束される必要は全くありません。

ただし、ウチならもっと好待遇が可能、というなら宅建業法上の名義貸しに抵触する可能性をも意識してください。

 

第一に、そもそも「従業者」を雇うということは(フルコミッションも宅建業法上の「従業者」です)、その人の犯した「失敗」について雇い入れた会社が全責任を負うんだ、という覚悟が必要です!

 

会社の売上金を持って行かれた、というくらいなら「自身の見定めが悪かった」とうことで諦めがつく(そんなわけですむことがないことは深く同情します)かもしれませんが、顧客とトラブルを起こし行政処分を受けてしまったらどうしますか?

もちろん、民事上の賠償請求だけで済む話ならその失態をしたフルコミ従業者に求償すれば実際の損害は結果的に少ないこともあります。

しかし、行政処分となると、貴社の処分情報が官報にて公表され、さらに最低5年間、免許権者のホームページに掲載され続けるのです。

そうなると、顧客の新規開拓どころか、銀行から新たな融資さえも受けられなくなります。

その実損は図りしれません。

せっかく、大金を払って会社を設立し夢の実現の第一歩を踏み出した経営者である貴方…当面再起できなくなるかもしれないのです。

 

そんなことを考えれば易々と高率歩合を約するのもいかがなものか、と私は思うのです。

従業者をしっかり監理するなら、神経と時間、そして費用もそれなりにかかるはずなのです。

 

さらに、高率歩合は「名義貸し」とも紙一重。

実質会社側は「ハンコ代」程度の受領で妥協したことが、かえって「名義貸し」と判断されることも決してないとは言えません。

名義貸しとなれば、行政処分のほか刑事罰も科せられてしまいます(三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科)。

まずは自社名義で全額の入金をしてもらい、その後フルコミ従業者に定めた報酬を支払うことも鉄則です。

 

<結論>

①報酬は最大でも売上の5割以下。

②売上は自社名義で全額受領、その後フルコミ従業者への報酬を支払う流れにすること。

フルコミ従業者の歩合率の決め方に当たっては、必ず以上を肝に銘じてください。

なお、上記内容に注意したところでフルコミッション契約自体、宅建業法上明らかに合法とはいえません。免許権者によっては則「名義貸し」と判断する可能性が十分にありえますので、くれぐれも安易に考えないよう気を付けてください。

従たる事務所(支店)開設に伴う費用等

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今まで東京都内に1店舗(本店のみ)しかなかった宅建業者が、仮に大阪で2店舗目を出店しようとした場合、手続きにかかる費用は概算でどのくらいになるのでしょうか?

 

また、手続きの流れ・期間はどうでしょうか?

 

全日本不動産協会に加盟している業者の事例をご紹介します。

 

<各種手続き費用>

支店登記費用120,000円くらい(登録免許税+司法書士報酬)

 ※「●●支店」という名称を使用せず、「●●営業所」「●●店」なら登記をしなくても構いません。

  ただし、実務上支店長印で対外取引を行えるようにされた方が業務がスムーズになるのではないでしょうか?

  そうなるとやはり支店の登記が必要です。

 

全日本不動産協会大阪府本部へお支払いただく総額

 平成27年4月現在では…918,500円(従たる事務所30万円の弁済業務保証金分担金込み)

 ※地方本部によって大きく変わります。

  ちなみに東京都本部ですと80万円程度で済みます。

 

国へ納める登録免許税 <東京都知事免許から大臣免許に変わります>

 90,000円(当事務所へ申請代行をご依頼の場合、下記費用と併せお預かりいたします。)

 

当事務所へ申請の代行をご依頼いただいた場合の報酬・経費の合計

 最大15万円程度(内訳:報酬120,000円+消費税+実費)

 ※当事務所の指示に従い、支店の写真撮影等にご協力いただけますと、このくらいの金額で済みます(大阪への出張が不要になるため)。

 ※なんと業界団体への手続き費用も含みます!

  ちなみに他の事務所ならこの金額ではできません。

 

以上を合計すると、130万円程度は必要となります

 

 

<手続きの流れ・期間>

①    東京都庁にて大臣免許申請

②    2か月から3か月後、関東地方整備局から本店に免許通知がFAXで届く

③    全日本不動産協会東京都本部に入会申込書と上記918,500円を納付

④    保証協会が供託

⑤ 免許証が郵送で本店に届く(支店で営業開始が可能)

 ※申請から支店での業務開始まで約3か月半くらいかかります。

  しかし、上記手続き中でも、本店では滞りなく営業を続けられます。

 

 

以上となります。

 

なお、このケースでは、支店新設以外に免許換えも伴うことから、費用以外にも多くの時間がかかります。

必ず計画的に、時間的・金銭的な「ゆとり」をもって望んでください!

 

 

 

更新申請をしたら免許取消!?

宅建業免許の更新申請や宅建業者登録簿登録事項変更届で免許取消!?

 

こっちはちゃんと法律を守って申請(届出)しているのにそんなことあるわけないでしょ?

 

行政処分の発端は、取引の相手方の苦情、同業他社の通報、定期立入検査等がきっかけになることはもちろんですが、それより圧倒的に多いのが、宅建業免許の更新申請や各種変更届によって発覚してしまうものであるのはご存知でしたか?

 

私も国土交通省宅建業所管職員時代、監督処分を行った経験がありますが、そのきっかけはたまたますべてが宅建業免許の更新申請や各種変更届に基づくものでした…本当です!

 

業者側としてはむしろ宅建業法を遵守すべく申請(届出)したにもかかわらず、行政処分なんてあまりに腑に落ちないと思います。

 

それにしても、どういうことなのでしょうか?それが本当ならば、いっそのこと更新申請や変更届はしない方がいいってことなのか?

 

もちろんそんな訳はありません。更新申請をしなければ即廃業、変更届も出さなければ遅くとも次期更新時までにすべてがバレます。

 

 

ところで、行政処分が何の事だかピーンとこない方。「処分なんて気にしない」と思っている方。

 

行政処分を受けると絶体絶命、小さい会社なら免許取消や免許停止に至らない指示処分でさえも「倒産」してしまう可能性が高いのです!

 

なぜなら、官報掲載以外にも免許権者のホームページに数年間、会社の商号、代表者の氏名、違反の事実、処分の理由などが詳細に掲載されてしまい、新規のお客様はもちろん、既存の顧客や銀行などから取引を拒絶される可能性があるからです。

 

なかでも、免許取消処分を受けるとほとんどの場合、代表者や役員の宅地建物取引士資格もはく奪され、ほかの許認可や登録資格さえも連動して取消処分を喰らってしまいます。

 

そんな悪いことオレはしていないし、今後もしないよ…でも意外とそんな普通の人が処分を受けているのです。

 

ならば免許権者(行政庁職員)に抵抗し、いざとなれば土下座をついて許してもらおう、相手も人間だからわかってくれるさ…そんな甘くはありません。

 

申請(届出)に基づき違法が発覚した場合のほとんどは、裁量の余地もなく問答無用に「処分」なのです!

 

 

近々免許の更新を控えている方、変更届出をしようと思っている方。

 

いつもならご自身でされるか、おなじみの行政書士に依頼されるでしょうが、もし以上の話を詳しく聞いてみたいという方は一度当事務所に依頼してみてはいかがでしょうか?

 

当事務所なら慎重にヒアリングや調査を実施し、万一処分される可能性が考えられる場合、時期によっては回避できることがあるかもしれません。

 

ちなみに処分を絶対に回避できることについてお約束できるものではないことについてはご了承ください。

 

 

 

本当に立入検査職員!?

 もし貴社に「宅建業の免許権者」と名乗る者からいきなり立入検査を受けたとしたら…

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おそらく為す術もなく観念する方がほとんどだと思います(検査の拒否・妨害・忌避は刑事罰の対象となります)。

 

しかし、それが立入検査の権限のある行政職員ではなく実は情報泥棒かもしれません。

 

検査と称してなりすまし、貴社が保有する個人情報が大量に流出したら…

 

それこそコンプライアンス体制が未熟であるとして、本物の立入検査を受けることになるでしょう。

 

 では、本当に権限のある検査職員かどうかの確認はどうすれば良いのでしょうか?

 

名刺をいただく・・・×

職員証の提示を求める・・・×

 

宅地建物取引業法第72条第4項では、「~立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。」と規定されています。

 

したがって、その身分証明書の提示を求めることが必要です(携帯していなかったら追い返しても大丈夫)。

 

 ただし、身分証明書らしきものを拝見できれば安心、とは言えません。

 

当該身分証明書は宅地建物取引業法施行規則第30条別記様式第二十四号にしっかりと(大きさまで)定められています!

立入検査証

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ですので、当該様式と相違ないかしっかり見極めることが大切です!

 ちなみに、国土交通省や都道府県庁のホームページではこの身分証明書の様式を掲載していないようです。

 

監督官庁が所管する法令についてサイトに掲示しない、ということはいまどきちょっと不親切ですね。

 

ぜひ上記に掲載している様式を参考にしていただければ幸いです。

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報酬額表は差替えましたか?

17宅建業者の店舗または事務所において、業者票とともに重要なのが「報酬額表」。

 

宅地建物取引業法第46条第4項では、「宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、(第1項の規定により)国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。」

と規定されています。

 

なお、この報酬額表が(掲示場所・内容共)適正に掲示されていないと、宅建業免許更新申請の不受理や行政処分に繋がる可能性もありますので十分留意してください。

 

そこでその内容についてですが、今般の消費税改定に伴い一部が変更されました。

わかりやすいところで言うと、今後は表中「最終改正」以降の記載が「平成29年12月8日国土交通省告示第1155号」と記載されていないものを掲示し続けると、法令違反となります。

 

業界団体に所属している業者の方は、新しい業者票が既に個別に配布されているか、もしくは業界団体のホームページでダウンロードが可能ですので、いまだに不備な業者様は取り急ぎこれらを利用してはいかがでしょうか。

 

ちなみに報酬額表の「大きさ」は業者票と違って規制がありません。

したがって、A3用紙にプリントアウトした程度の大きさのものを永続的に使用してもOKです。

 

ただし、それよりも小さいと、宅地建物取引業法第46条第4項の趣旨に抵触するかもしれませんので注意が必要かもしれませんね(「・・・公衆の見やすい場所に・・・」と規定されているので、小さくて「見にくい」ことは解釈上問題あると言えるでしょう。)。

 

それにしても、今どき事務所内の報酬額表をマジマジと見るお客様はいません。

ましてや見てすぐ理解できる内容のものでもありません。

 

報酬額については、媒介契約書や法律で規定していることですから、報酬額表の掲示義務はそろそろ廃止して欲しい、と私は考えます。

 

参考:【最新】宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)国土交通省ホームページより

 

 

A3用紙の業者票は法律違反

私は国交省職員時代に行っていた立入検査を含めると、通算して数百の業者票を目にしてきました。

おかげで「業者票」を見ると、その宅建業者の品格や個性、遵法意識などがある程度わかってしまうようになりました。

 

まさしく会社の顔、恐るべし「業者票」。。。

 

ところで、この業者票についてですが、A3用紙で作成して額縁に入れ掲示している会社を数件見かけたことがあります。

あるいは、透明のアクリル板で作られた「上品な大きさ!?」の業者票を掲示している会社もありますね。

 

でもこれらは宅地建物取引業法第50条に違反するのをご存知でしたか?

最悪ペナルティとして指示処分を受けてしまうことだって否定できないのです。

 

材質のことを言っているのではありません。

「業者票」には記載すべき必須の事項はもちろん、「大きさ」がしっかり法令で規定されています(宅地建物取引業法施行規則第19条第2項の別記様式参照)。

 

 

A3用紙の場合だと、横の長さは問題ないのですが、縦が法律の規定に3mm足りないのです(A3用紙は横420mm縦297mm)。


たった3mmじゃないか…確かにこれだけをもって即行政処分を行うほど免許権者も鬼ではないでしょう。

 

しかし、少なくとも景気のいい宅建業者さんは堂々としたサイズの業者票を掲示していることは確かな気がします。

 

最近売上がパッとしない、と感じている宅建業者様。

「業者票」から見直してみてはいかがでしょうか?

 

 

仲介手数料債権の発生時期

宅地建物取引業法において、宅建業者がお客様との媒介契約に基づき当該報酬(仲介手数料)を全額請求できる時期は、あっせんした売買契約が成立した時点であって、売買代金を全額払い込む決済時までではない、と解されております。

 

したがって、宅建業者が(決済時まで待つこともなく)売買契約成立時に仲介手数料をお客様に半金ないしは全額を請求し、それを受領することは法律上問題ありません。

(ちなみに、当事務所のグループ会社では「決済時」に一括して頂戴しますが、売買契約の成立時点では一銭もいただきません。)

 

そこで、宅建業者はもちろん、これから宅建業者と媒介契約を締結しようとするお客様におかれましては、以下のことを知っておくと良いでしょう。

 

①売買契約当事者(売主または買主)の債務不履行による解除

⇒仲介手数料の返還なし(ただし、仲介した宅建業者の義務違反があれば別。)。

 

②手付放棄・手付倍返しによる契約の解除

⇒仲介手数料の返還なし。

 

③売主と買主との間の合意解除

⇒仲介手数料の返還なし。

 

④買主のローン不成立による契約の解除

⇒宅建業者と交わした媒介契約が、国土交通省の定める標準媒介契約約款を使用していた場合、仲介手数料は返還されなければならない。

 

⑤停止条件付の売買契約を締結したが条件が成就しなかった場合の解除

⇒宅建業者と交わした媒介契約が、国土交通省の定める標準媒介契約約款を使用していた場合、報酬の請求はできません(あらかじめ仲介手数料を受領することはできません)。

 

注意!)上記④⑤の場合、標準媒介契約約款を使用しているか否かにより係争に発展するおそれもあるため、宅建業者と媒介契約(売主買主との売買契約と混同しないように)を締結する際には、その契約書面に十分注意しましょう。

標準媒介契約約款を使用しない業者とは、媒介契約(仲介の依頼)をしないことをお勧めします!

 

 

<参考>

媒介の意義

仙台高裁秋田支判昭和46.11.2、刑月3巻11号1431頁「(宅地建物取引業)法第2条二号所定の売買の媒介とは、売買当事者の少なくとも一方の依頼を受け、当事者の間にあって契約の成立をあっせんするすべての行為を指称する。」

 

 

広告費の負担者は誰!?

a0002_011679宅地建物取引業に関し国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款(昭和57年建設省告示第1110号)では、「特別に依頼した広告」の料金は依頼者が宅建業者にその実費を支払わなければならない旨規定した条項があります。

 

では「特別に依頼した広告」とはどういうケースを言うのでしょうか?

 

判例(東京高判昭和57年9月28日)によると、

「一般に宅建業者が土地建物の売買の媒介にあたって通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれているものと解されるから、報酬告示第7が特に容認する広告の料金とは、大手新聞への広告掲載料等報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべきであり、また、報酬告示第7が依頼者の依頼によって行う場合にだけ広告の料金に相当する額の金員の受領を許したのは、宅建業者が依頼者の依頼を受けないのに一方的に多額の費用を要する広告宣伝を行い、その費用の負担を依頼者に強要することを防止しようとしたものと解されるから、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、その費用の負担につき事前に依頼者の承諾があった場合又はこれと同視することのできるような事後において依頼者が広告を行ったこと及びその費用の負担につき全く異議なくこれを承諾した場合に限り、広告の料金に相当する額の金員を受領することができるものと解すべきである」としています。

 

要するに、不動産売買仲介における広告料は、余程のことがなければ宅建業者が依頼者に請求できるものではないということを意味します!

 

依頼者が宅建業者にその実費を支払う義務を負う場合とは、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものに概ね限られるということです。

 

したがって、一般の方々は頼んでもいない広告料(あるいは案内料、申込料等の名目も同じ)を宅建業者が請求してきた場合、安易に支払ってはいけません。

 

宅建業者におかれては、くれぐれも依頼者の特別な依頼に基づかない広告料を請求するこのないよう気をつけてください(宅建業法第46条第2項に違反し、行政処分の対象になります。)。

 

ちなみに、賃貸借の仲介においては、貸主から広告料、借主からは仲介手数料としてそれぞれ月額賃料の1か月分を受け取るという商慣習が少なくとも関東では根付いているようですが、これも厳密に言うと宅建業法第46条第2項に抵触します。

 

機械的に「貸主から広告料1か月分」というような形で受領する場合、少なくとも免許権者には通用しません(なお、トラブルさえ起こさなければ大手仲介会社を除き、積極的な取り締まりは現時点ではないようです)。

 

なぜ広告料が別途必要なのか、事前に依頼者から承諾が得られていたか等を確認し、実費などを交えて説明できるよう、常日頃から留意することは必要です。

 

 

 

宅建業重要事項説明の相手方

a0008_0018441-300x198宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明について、第1項では「その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し」と規定されているため、その説明すべき相手方は買主・借主に限定されていると解すことができます。

 

ただし、宅建業者が売主・貸主に対して重要な事項について説明を怠った場合には、第35条違反にはなり得なくとも、第47条(重要事項の不告知)違反に該当することが十分あり得ます。

ちなみに、第47条に違反すると、行政処分の対象となるばかりか、刑事責任も問われます(宅建業法第79条の2参照。)。

 

したがって、重要事項説明書の署名・捺印欄には、買主・借主だけではなく売主・貸主にも(重要な事項を説明した上)、署名・捺印をいただくようにしておきましょう。

 

そうすれば、民事上の紛争を予防できることはもちろん、刑事・行政上の責任を問われる可能性も極めて低くなると思料します。

 

<参考>

宅地建物取引業法-抜粋-

第35条
 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
第47条
 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
イ 第三十五条第一項各号又は第二項各号に掲げる事項
ロ 第三十五条の二各号に掲げる事項
ハ 第三十七条第一項各号又は第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
第65条 
 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 第十三条、第十五条第三項、第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第三十二条、第三十三条の二、第三十四条、第三十四条の二第一項若しくは第二項(第三十四条の三において準用する場合を含む。)、第三十五条第一項から第三項まで、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十一条第一項、第四十一条の二第一項、第四十三条から第四十五条まで、第四十六条第二項、第四十七条、第四十七条の二、第四十八条第一項若しくは第三項、第六十四条の九第二項、第六十四条の十第二項、第六十四条の十二第四項、第六十四条の十五前段若しくは第六十四条の二十三前段の規定・・・に違反したとき。

第66条
 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
前条(第65条)第2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第二項若しくは第四項の規定による業務の停止の処分に違反したとき。
罰則
第79条の2
 第四十七条の規定に違反して同条第一号に掲げる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

 

 

 

宅建業法とフルコミ営業マン

従業者の一部または全員を雇用契約ではなく、フルコミッション(完全出来高制による業務委託)で営業職に従事させている宅地建物取引業者もいまだ多く存在することと存じますが、当該業者におかれては宅地建物取引業法との関係で留意すべき事項が数点あります。

 

必ず従業者証明書を携帯させるとともに、従業者名簿に登載すること。

 会社と雇用契約がなくても、当該宅建業者の名のもとに従事させる以上、宅地建物取引業法上「従業者」扱いとなります。

 したがって、例えば取引の関係者から従業者証明書の提示を求められた場合、携行させていないことが判明すると、宅建業法違反となり行政処分の対象となります。

 

専任の宅地建物取引士にさせることができない。

 業務委託契約は勤務時間や勤務場所を拘束することができない性質のため、「常勤」を要件とする専任の宅地建物取引士に任ずることができず、免許権者にその旨届け出ることはできません。

 よって、代表者が専任の宅地建物取引士も兼務して1人で経営している不動産会社の場合、フルコミ従業者は4人までしか従事させることができないことになります。

 「専任の宅地建物取引士は必ず雇用関係の契約によらなければならない」(派遣でも可の場合あり)ということです。

 

フルコミ営業マンが宅地建物取引士の場合、勤務先の届出義務がある。

 宅地建物取引士としての事務を行わせるには、宅地建物取引士資格登録簿に勤務先登録をさせなければなりません。

 自社に勤務先登録をさせれば、業者名簿に専任登載はできなくても、宅地建物取引士固有の仕事はさせることができるのです。

 

極端な高率歩合は、名義貸しに該当する可能性がある。

 フルコミ従業者が欲しくて、仲介手数料の8割、9割といった高額な成果報酬を支払うことを約する業者も中にはいるようですが、この場合は名義貸し(宅建業法第13条第1項)に抵触する可能性が極めて高くなります。

 宅建業者の責務を自覚し経営管理をしっかり行うなら、報酬を右から左に軽々しく出せないはずです。

  まずは売上の全額を宅建業者名義で入金させましましょう。そしてフルコミ従業者に支払う報酬は5割以下に留めることが鉄則です。

 なお、フルコミ従業者を設けることは民事上や税務上有効であっても、宅建業法上「合法」であるとは言えません。都道府県の免許権者によっては即「名義貸し」と判断される場合がありますので、十分注意してください。

 

※所得税法上では、フルコミ営業マンは第204条第1項第4号の「外交員」に該当し、その報酬に対し源泉徴収を行わなければなりません(個人事業者で給与所得に係る源泉徴収義務がない事業者は除く。第204条第2項第2号参照)。

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不動産業ネット広告の法規制

不動産業界において悪質だとされている広告の代表例に「おとり広告」があります。

 

Yahoo!不動産によるとその定義は、

「不動産を探している客を自社店舗へ誘導するために、実際には取引できない物件の広告を出すこと。架空の物件をでっち上げる場合と、物件は存在していても売主に取引の意思がなかったり、取引の対象とは成り得ない物件を出す場合がある。広告を見て問い合わせたり来店しても、営業担当者が該当する物件の詳しい情報を出さず、「もう売れた」などといって別の物件に振り向けられる。

不動産公正取引協議会の表示規約で禁止。」と明記されています。

 

たしかに、上記のような広告は典型的な「おとり広告」と言え、悪質極まりないものです(また、成約済みのものをいつまでもネット上などに掲載続けることは、例え故意がなくとも「おとり広告」に該当します。)。

 

しかし、新手な不当誘致が最近都心を中心に発生しております。

 

それが「仲介手数料無料」という言葉です!

 

もちろん、取扱物件すべてが仲介手数料無料、またはWEB広告の中で明らかに仲介手数料無料物件であることが他と判然区別できるなら問題ありません。

 

しかし、このような文句を筆頭にWEB広告を出している不動産業者の多くは、全物件が「仲介手数料が無料」ではなく、むしろ無料にできる物件の方がはるかに少ないのではないでしょうか?

 

なお、このような不当誘致は単に業界の自主規制である公正競争規約に違反する、というだけではなく、不当景品類及び不当表示防止法という法律に違反することに繋がります。

 

不当景品類及び不当表示防止法に違反したとして措置命令や罰則の適用を受けると、さらに宅地建物取引業法第65条第1項第3号(他法令違反)で行政処分が待っており、負の連鎖が続きます。

 

最近、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会では「仲介手数料無料」と謳っているネット広告を注視し始めているようなので、思いあたる企業は表現を少し変えてみるなど工夫しながら、所属する公取協にも是非相談してみてください。

 

ちなみに、意外に目立たないと思われがちな「仲介手数料定額」については、不当誘致はもちろん、宅地建物取引業法第46条第2項にも抵触する危険性があります。

 

なぜなら、報酬の上限額については「定額」ではなく、同法第3項に基づく国土交通省の告示による計算(「定率」に近い)方法によって規制されているからです。

 

例えば、「仲介手数料定額21万円」と表記してしまった場合はどうでしょうか?

 

一見良心的な報酬のように感じてしまうでしょうが、売買代金400万円で成約した物件の仲介手数料上限額は4,000,000円×3%+60,000円+消費税=189,000円となっているため、この場合は逆に法律を定める報酬の上限額を超えていることになります。

 

広告は公然と行う以上、一般消費者とのトラブルがなくとも違法であることの証拠は掴まれやすく、命令や行政処分に発展することが多いので不動産業者の方は十分注意してください。

 

一般消費者の方も良心的な不動産会社を選別するための一つの目安として上記をぜひご参考にしてみてはいかがでしょうか・・・広告を見てもその会社の法令遵守度がわかるのです!

こちらのページも是非ご覧ください!

 

 

行政処分は不意に訪れる

a0002_002271規制緩和の時代の流れをうけ、事前の審査のハードルがやや低くなったものの、事後の規制は強くなりつつあり、特に不動産業のうち、国土交通省関東地方整備局が行うマンション管理業の監督処分は近年頻繁に行われているようです。なかには見せしめか・・・と思うほど厳しい処分内容のものも見受けられます。

もともとマンション管理業は「登録」制度であり、建設業の「許可」や宅地建物取引業法における「免許」制度に比べ、緩い規制であると考えるのですが、それだけトラブルが多いのが現状であると言えるのかもしれません。

 

ちなみに行政の監督処分の目的は、財団法人不動産適正推進機構が監修する「わかりやすい宅地建物取引業法」から一部引用させていただくと、

①その許認可を受けた業者が法違反により処分を受けた事実を一般に知らせ、その業者の信用度に関する情報を提供して、注意を促すこと。

②業者が社会的制裁を加えられることを予告することをもって、法違反を未然に防止しようとすることにある。

ということのようです。

 

指示処分を受けると免許庁のホームページに最長5年掲載され、業務停止処分以上になると官報にも公表されてしまいます。こうなると、新規の受注はもちろん、既存のクライアントからも契約を打ち切られ、さらに金融機関との取引も停止される危険性があります。
まさに企業の存亡にかかる大ごとです。

 

なお、当事務所では行政の監督処分を受けた経験のある企業様にご協力をいただきインタビューを試みて、その時の情報を詳細に教えていただいたことがあります。

行政側から、「貴社に対する苦情のお問い合わせが来ているので立入検査を実施させていただきたい」との電話がまずあったそうです。

そして立入検査を受けた事業者の方は、行政の厳しい指摘及び処分の予告にまさかと思いつつも、すかさず釈明し、反省の意を十分に示したにも関わらず、最終的には聞く耳をもたずに監督処分を受けるに至ってしまった、まさしく青天の霹靂だった、と言っておりました。

 

基本的に立入検査や報告要求を行政が実施するには、業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときでなければ行うことはできませんが、必ずしも処分を前提とする必要はない定期巡回検査の際もそのような趣旨から違法行為が発見されれば事業者にとって常に予断を許さない状況にあると言えるでしょう。

 

ただし、監督処分の権限を持つ行政庁にはかなりの温度差があります。

平成13年から大臣免許や登録に関し、国土交通本省から権限の委任を受けた各地方整備局の間でも非常に処分に対する考え方にバラつきがあり、逆に民業圧迫という観点から不作為と思われるほど行政指導や監督処分を行わないところもあるようです。

当事務所の考えでは、各自治体においては地方分権という趣旨からそのような差が生まれても仕方がないと存じますが、国の場合は一つの公法人である以上、権限を地方整備局長に委任したからといって、監督処分の発令にバラつきがあってはいけないものだ、と感じています。

 

しかし、現実を否定しても始まりません。

最後は自分の身は自分で守る、ということが常日頃から必要になります。

当事務所では許認可を得ている企業様に対する指導として、その法令に熟知した専門の社員を少なくとも1名は置くべきだ、と申し上げております。

それでも一般の企業法務の経験者が業行政に関わる法規を勉強し、社内に周知させるにはかなりのハードルがあるでしょう。

 

そこで当事務所では、そのような企業様のために日ごろから業法に基づく法令監査を実施するサービスも行っております。今のところ宅地建物取引業法のみです。

 

対行政対策も社内のリスク管理上不可欠です。

立入検査の連絡が入ってからでは本当に遅いです。絶対軽視しないで今のうちから望んでください。

当事務所なら知り得た貴社のあらゆる情報を外部(行政機関を含む)に漏らすことはありません。

是非、安心してお問い合わせください。

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信頼される宅建業者とは

お客様や取引先に信頼され、末永く安定成長できる企業になるためには、法令遵守はもちろん、企業倫理を含めたコンプライアンス体制の構築が不可欠です。

特に宅建業者の場合、動かす金額が大きいため、より重要なことであることを十分に認識する必要があります。

 

万一お客様の心証を悪くしてしまった場合、民事上の問題では済まされず、行政法規である宅地建物取引業法上の違法を行政に通報されたら免許権者から処分を受ける可能性も考えられます。

 

まずは、宅地建物取引業法(以下、「法」という。)の完全遵守を目指して行きましょう。

下記のチェック項目はその代表的なものです(すべてを網羅していませんが、これらをしっかり遵守できていれば、行政の立入検査があっても大丈夫。)。

 

宅建業に従事する者のうち、5人に1人以上「専任」の宅地建物取引士を設置しているか(法31条の3)

 

誇大広告等の禁止(法32条)

 

広告の開始時期の制限(法33条)

 

自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限(法33条の2)

 

自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別を広告やお客様に明示しているか(法34条)

 

媒介契約を締結したときは、遅滞なく書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しているか(法34条の2)

 

売却に係る専任媒介契約を締結したときは、すみやかに指定流通機構(通称「レインズ」)に物件登録をしているか(法34条の2、5項)

 

貴社の取引の相手方等に契約が成立する前までに、重要事項の説明及びその内容を記した書面の交付を行っているか(法35条)

 ※業界団体の定型書式を利用されることが望ましい

 

建築確認や開発許可の前に契約を締結する等、当該締結時期に違反していないか(法36条)

 

契約書の記載項目、交付状況に問題はないか(法37条)

 ※業界団体の定型書式を利用されることが望ましい

 

クーリングオフの遵守状況(法37条の2)

 

宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、損害賠償額の予定等の制限(法38条)、手附の額の制限等(法39条)、瑕疵担保責任についての特約の制限(法40条)に違反していないか

 

手付金等の保全(法41条)・受領(法41条の2)に問題はないか

 

不当な履行遅延の禁止規定(法44条)に抵触していないか

 

守秘義務(法45条)を遵守しているか

 

報酬額表(法46条)、業者票(法50条)を掲示し、また、その記載内容に問題はないか

 

故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為等、お客様への利益の保護に欠ける行為はしていないか(法47条、47条の2)

 

宅地建物取引士証(法35条4項)、従業者証明書(法48条)を携帯しているか

 

取引台帳を備え付け、取引の都度必要事項を記載しているか(法49条)

 

 

以上は、お客様にも目に付き、指摘される可能性がある最低限の項目です。その他、宅地建物取引業法の各条項、政令(施行令)、省令(施行規則)、告示、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方、個人情報保護法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、消費者契約法等の適用も受けます。

 

なお、当事務所では相談業務も行なっております。

顧問弁護士まではつけられないが、提携司法書士では登記に特化しすぎるので、不動産法務全般に詳しい身近な相談相手が欲しい、という場合には当事務所が最適です。

1回当たり税込6,600円、または月々税込33,000円の定額で顧問も承ります。

また、不動産物件調査(重要事項説明書作成)を毎月継続的にご依頼いただける不動産会社様につきましては、ご相談はいつでも無料です。

是非ご検討ください。