不動産調査・重要事項説明書作成の盲点

ブロワ不動産売買の仲介において避けられないのが不動産物件調査のスキル。

とは言っても、大手仲介業者に勤務した経験がない場合、正しい指導に基づいた研鑽を積む機会がなかなかありません。

ならば、そんな機会に恵まれなかったことを理由に、いい加減な調査で重要事項説明書を作成しても万一のときに責任は免除される、というはずがないことを宅建業者ならご理解していることと思います。

 

ではまず、汚水・雑排水の調査を例に取ってみましょう。

汚水・雑排水の調査では、市役所の下水道課で下水道台帳の写しを取得することが大前提となります。

そこで台帳の写しを取得したらオシマイ、と言うほどレベルが低い業者はさすがにいないとは思いますが、当該台帳の写しの交付をいただいたあと、必ず、担当課の職員に前面道路内の配管は公設管であるかどうか、そうである場合には管の口径はいくらか、桝の位置や取付管の口径、分流式かどうか、分流式の場合は、雨水の排水先はどこか等を聞いてください。

前面道路が私道の場合は、時に前面道路の配管が公設管ではなく、共有の私有管になっている場合があります。

 

ただし、今回はその程度のレベルのことを深く解説するつもりはありません。

実は、意外によくあることですが、特に共同住宅(アパート)の場合、前面道路内に公共下水道が完備されているにもかかわらず、いまだに浄化槽を使用しているというケース。

 

確かに戸建住宅に比べ、その切替費用は莫大なものになるため、そのような状況もやむを得ないかもしれません。

 

ちなみに、下水道法第10条では、「公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。ただし、特別の事情により公共下水道管理者の許可を受けた場合その他政令で定める場合においては、この限りでない。(以下、略)」と規定されています。

なお、浄化槽の使用継続はこの「特別な事情」として許可しない自治体が多いのが実情です。

 

この場合、浄化槽を使用し続けることが違法となること、管轄行政庁から改善指導を受ける場合があること及び改善指導に従う場合には費用(浄化槽の撤去、公共下水道への切替工事、下水道使用料の発生等)がかかること等を必ず重要事項説明書に明記しなければなりません。

 

ではそもそも、どうやって公共下水道を使用しておらず、浄化槽を使用していると判明できるのか?

 

現地では、
①ブロワ浄化槽の蓋があるか
②2つまたは3つの連続した蓋(マンホール)があるかどうか
以上を必ず確認してください!

 

この2つがあると、浄化槽を使用している可能性が高くなります。さらに下水道課で負担金の納付記録及び下水道使用料の請求履歴があることも確認し、売主にもヒアリングは必須です。そして点検・清掃・修繕記録を徴求することも忘れずに…

(長い目で見れば、浄化槽の方が汲取等のメンテナンス費用がかかります。買主にはそういうアドバイスをしてあげることがよりトラブルを未然に防ぐことができるでしょう)

 

以上一例を上げましたが、何となく会社で与えられた不動産調査フォーマットに沿うだけの調査で終わり、というほど物件調査は簡単でないことがご理解いただけたでしょうか?

浄化槽を使用しているのに「公共下水道」として重要事項説明書に記載・説明しただけでは後に大きな媒介責任を問われたとしても仕方がないことがわかっていただけたかと思います。

 

万一、当社にはそこまで注意力のある社員がいないという場合は当事務所にアウトソーシングすることを是非ご検討ください。

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