過去に物件調査を伴う重要事項説明書や売買契約書の作成をどこかの業者に依頼して、たまたま良い内容の成果品をいただいたら、あなたはおそらく次もそこに依頼することでしょう。
確かに、そんな代行業者は満ち溢れているほどありませんし、その成果物のレベルは未知数のため、はじめてお願いした業者の成果品がたまたま良かったら、「別なところも開拓しよう」なんて普通は思わないのもわかります。
しかし、あなたが良い内容の成果品だと感じているなら、その依頼した業者は他の同業者から見てもおそらく心証は良いはず。
そうなると、また依頼したいときに「既に案件が入っていて今回は受託できません」と言われる可能性が十分にあります。
通常、仲介の場合は買付が入ってから契約までのタイトな日数で重要事項説明書や売買契約書を作成しなければならず、その期間にこれらの書類作成を発注することとなります。しかも、他の仲介業者もだいたい時期が重なります。
もし断られても、その時は自分で作る覚悟があれば良いのですが、依頼をする会社の多くは自社では全く作れるノウハウがないという会社だけでなく、自分で作るよりプロが作った書類で取引の安全や自社の信頼を高めたい、と考える謙虚で意識の高い不動産会社も多く、いずれの場合であっても依頼を断られたら致命的なことでしょう。
そのため、弊法人の場合でも、こちらがいただいた依頼をやむなく断っても根負けさせられる勢いでお願いされるケースが多々あります。
それはこのような仕事をしている我々にとって、本来非常に有難く感謝すべき話ではあるのですが、弊法人ではここ数年、不眠不休の毎日、かつ週末はもちろん年末年始さえも休みが取れない状況です(ただし、弊法人内部で「ブラック」な勤務状況なのは代表者だけで、幸いにも有志で事務処理能力の高い外部調査員に支えられています。)。
「それなら調査員をどんどん募集すればいいのでは?」と、言われることもありますが、この仕事に関してはなかなか「できる」人が見つかりません。そもそも有能な人はとっくにどこかの有名企業の法務部に社員として所属していたり、他の重説作成代行業者で戦力として既に働いており、転職市場には皆無です。
【弊法人でも過去に大手仲介会社で重説を作っていた、という経歴の人を転職サイトから採用したり、「ウチでぜひ働きたい」という人を受け入れ、その意欲に期待し初期投資だけでも200万円ほどつぎ込んでみたこともあったのですが…】
それは私の求めるスキル(こだわり)が高すぎる、ということもあるでしょう。しかし、それだけクライアントを満足させる書類を作るには、そのくらいの強いこだわりをもって人材開拓をしなければならない、という非常に過酷で厳しい職種だと私は認識しています(宅建業者という「プロ」からの依頼を受けて、そのプロに満足していただけるくらいの超絶な「プロ」でなければならない…)。
※だから、5人も10人も調査員がいるような会社は、もしかするとその成果品は期待値に遠く及ばない可能性あり。
話は少し脱線しましたが、要はそれだけ専門性が高く(契約法務実務経験や行政文書作成経験最低10年以上)、人材の確保も容易でないため、既存の重説・契約書作成会社は過少供給な状況です。
よって、いざという時のためにも、少数精鋭の不動産調査代行・重要事項説明書等書類作成会社を2~3社は開拓しておくことをお勧めします。