重説「別紙参照」と記載省略することの是非

sakiphotoPAR538191074_TP_V4重要事項説明書には、例えば宅地建物取引業法第35条第1項第1号の規定に基づき、『登記記録に記録された事項』について記載しなければならない項目がありますが、この記載欄に「別添登記事項証明書をご参照ください」と記入するのみで、その内容の一切を記載しない場合でも、重説添付書類としてその登記事項証明書を添付していれば、宅地建物取引業法上違法とはならないものと思料します。

ただし、そのような形を取った場合、実際に重要事項説明を行うときは、添付した登記事項証明書を買主に提示して、必ずその内容を読み合わせしなければなりません。万一、それを省略した場合には「重要事項説明義務違反」となり、行政処分の対象となる可能性があります。

同様に、宅地建物取引業法第35条第1項第2号の規定に基づき『都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要』を記載しなければならない項目について、「別添資料をご参照ください」とその一言だけを重要事項説明書に記載することは問題ないと考えますが、実際に重要事項の口頭説明を行うときは、「別添資料をご参照ください」と読み上げて終わるのではなく、添付した当該資料の読み合わせも行わなければ、これも違反となりうる可能性があります。

なお、添付した資料をその都度実際の重要事項説明において読み合わせをすることは、説明する宅地建物取引士はもちろん、それを延々と聞かされる買主または借主にとってかなりの苦痛が伴うことは言うまでもありません。数時間にも及ぶだらだらした重要事項説明書及びその添付書類の読み合わせは、最終的に「何が重要だったのか」買主または借主の頭に残ることはないはずです。

したがって、なるべく重要事項説明書の記載欄または余白にその概要をあらかじめ記載し、説明の際にはその記載を読むだけにして(資料の読み合わせまでは原則として行わず)、特に質問がなければ「詳細については別添資料でご確認ください」と案内するに留めておくことが望ましい説明の仕方かと思料します。

※ただし、近年の法改正でできた項目「水防法に基づく水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地(位置)」については、実際のハザードマップを用いて当該宅地建物の所在地を示しながら説明する必要があります。

以上から、重要事項説明書はオリジナルで作成したようなA4数枚程度のものを使用するのではなく、必ず貴社所属団体(全宅もしくは全日またはFRK)が提供するひな型を使用する方が(添付書類の読込、理解及び作成時間はかかりますが)、むしろ読み合わせの時間を短くでき、その結果、買主または借主が当該不動産及び取引に伴う「重要事項」を理解できることに繋がるのではないでしょうか。

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