不動産会社「目的」の定め方

a0002_003791会社法施行前では、この「目的」に明確性や具体性等を要したものも、現在ではだいぶ自由な文言が認められるようになりました。

しかし、それは定款認証や登記手続上のことであり、その先の銀行口座開設や融資を受ける際の審査まで意識すると依然厳しいようです。

 

したがって、当面行う予定のない業務や許認可を得られそうもない業務を掲げないことはもちろん、会社法施行前のルールに則った明瞭な「目的」を必要最小限に定めておくことが無難と言えるかもしれません。

 

では、不動産会社にとってどのような「目的」を定めれば良いか、参考までに旧法で認められていた「目的」を例示してみます。

 

○建物の維持管理に関する業務

○不動産の取引に関する研究、コンサルタント業

○宅地建物取引業

○貸会場の経営

○レンタルルームの営業

○テナントの募集

○都市開発、地域開発、宅地造成等の事業に関するコンサルティング業務

○土地、建物の有効利用に関する企画、調査、設計

○住宅地、別荘地の開発造成

○不動産の賃貸・管理・保有・並びに運用

○ビルメンテナンス業

○不動産の売買、貸借、及びその仲介、管理並びに不動産の売買、貸借の代理

 

などが挙げられます。

 

逆に旧法では認められなかった事例を見てみましょう。

 

×不動産の企画立案及び経営相談(明確性なし)

×不動産の開発、造成業務(明確性なし)

×不動産の開発、売買、貸借、管理、媒介および鑑定(具体性なし)

×不動産競売の代行業務(適法性に問題あり)

×不動産取引業(具体性なし)

×不動産取引関連事務代行(明確性及び具体性なし)

×入居者のあっ旋および賃貸料請求と集金(適法性に問題あり)

×宅地建物取引業に基づく不動産関連事業(具体性なし)

×不動産の評価鑑定、土地の測量並びに分筆(適法性に問題あり)

×公共事業に伴う不動産に関する補償コンサルタント業務(具体性なし)

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以上、会社の目的を明瞭に定めることは容易なことではありません。

 

会社の「目的」は会社の「顔」。センスがはっきり出てしまいます。

取引先に影響が出ることは必須です。

 

よって、当事務所のような不動産業に詳しい専門家の意見も交えながら慎重に決めましょう。

 

 

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