フルコミ営業マンの歩合率の決め方

a0002_007047フルコミッション不動産外交員(営業マン)と業務委託契約を結ぶ際、歩合率をいくらにするか迷われる事業者の方もいらっしゃると思います。

そこで、一つの基準として「会社のツールをどれだけ使用させてあげられるか」という視点があります。

 

①会社を勤務場所として提供でき、電話やコピー機、接客場所等が自由に使える場合…40%程度

②上記プラス「集客」も会社で負担する場合…30%以下

③上記①②の提供ができない場合…50%以下

※上記①~③の見解を改めました!

 

以上はあくまでも私の個人的な意見です。これに拘束される必要は全くありません。

ただし、ウチならもっと好待遇が可能、というなら宅建業法上の名義貸しに抵触する可能性をも意識してください。

 

第一に、そもそも「従業者」を雇うということは(フルコミッションも宅建業法上の「従業者」です)、その人の犯した「失敗」について雇い入れた会社が全責任を負うんだ、という覚悟が必要です!

 

会社の売上金を持って行かれた、というくらいなら「自身の見定めが悪かった」とうことで諦めがつく(そんなわけですむことがないことは深く同情します)かもしれませんが、顧客とトラブルを起こし行政処分を受けてしまったらどうしますか?

もちろん、民事上の賠償請求だけで済む話ならその失態をしたフルコミ従業者に求償すれば実際の損害は結果的に少ないこともあります。

しかし、行政処分となると、貴社の処分情報が官報にて公表され、さらに最低5年間、免許権者のホームページに掲載され続けるのです。

そうなると、顧客の新規開拓どころか、銀行から新たな融資さえも受けられなくなります。

その実損は図りしれません。

せっかく、大金を払って会社を設立し夢の実現の第一歩を踏み出した経営者である貴方…当面再起できなくなるかもしれないのです。

 

そんなことを考えれば易々と高率歩合を約するのもいかがなものか、と私は思うのです。

従業者をしっかり監理するなら、神経と時間、そして費用もそれなりにかかるはずなのです。

 

さらに、高率歩合は「名義貸し」とも紙一重。

実質会社側は「ハンコ代」程度の受領で妥協したことが、かえって「名義貸し」と判断されることも決してないとは言えません。

名義貸しとなれば、行政処分のほか刑事罰も科せられてしまいます(三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科)。

まずは自社名義で全額の入金をしてもらい、その後フルコミ従業者に定めた報酬を支払うことも鉄則です。

 

<結論>

①報酬は最大でも売上の5割以下。

②売上は自社名義で全額受領、その後フルコミ従業者への報酬を支払う流れにすること。

フルコミ従業者の歩合率の決め方に当たっては、必ず以上を肝に銘じてください。

なお、上記内容に注意したところでフルコミッション契約自体、宅建業法上明らかに合法とはいえません。免許権者によっては則「名義貸し」と判断する可能性が十分にありえますので、くれぐれも安易に考えないよう気を付けてください。

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