「公拡法」を見逃すと大変なことになりますよ

a0001_018098公有地の拡大の推進に関する法律、通称「公有地拡大推進法」または「公拡法」とまで略される法律ですが、仲介業者がこの法律にかかる調査をすっかりスルーし重要事項説明書の記載を失念してしまうと、それに気づかず届出をしなかった売主に50万円以下の過料が課されることがあるのです。また、携わった仲介業者が重要事項説明義務違反による行政処分を受けてしまうことがありうるほど無視できない法律であることをご存知でしょうか?

しかし、「公拡法」なんて宅地建物取引士試験で出題されないことはもちろん、最近では不動産鑑定士試験からも試験科目から外されたほどですので、不動産物件調査で意識するほどの注意力を持たない調査員も多いかと思います。

では、どんなときに「公拡法」を意識しなければならないか、その要件を確認してみましょう。

1 届出の必要な土地の取引について
 次の(1)及び(2)に掲げる一定面積以上の土地を有償で譲渡しようとするとき(売買や交換など)は、譲渡しようとする日の3週間前までにそのことを「土地有償譲渡届出書」により知事に届け出る必要があります。
(1)次に掲げる土地が含まれる土地取引で、土地の面積が200㎡以上のものを有償で譲渡(売買など)しようとする場合
    ア 都市計画施設等の区域内に所在する土地
    イ 都市計画区域内のうち、道路法により「道路の区域として決定された区域」、都市公園法により「都市公園を設置すべき区域として決定された区域」及び河川法により「河川予定地として指定された土地」等
   ウ 生産緑地地区の区域内に所在する土地
(2)上記1を除く都市計画区域内の土地で、次に掲げる土地を有償で譲渡(売買など)しようとする場合

ア 市街化区域5,000㎡以上
イ 「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」に定める重点地域の区域5,000㎡以上
ウ ア及びイを除く区域(※ 市街化調整区域を除く)10,000㎡以上

 

なんだ、やはりこんな土地取引はほとんどないね、と思っている方。

しかし、たとえば都市計画道路の新設や道路法に基づく拡幅、都市計画公園などの区域内に対象地の一部でも入っている場合(計画決定のみの場合でも)、取引対象面積全体が200㎡以上であれば「公拡法」の適用を受け、事前届出が必要になるのです!

ただし、事前届出と言っても実務上では停止条件付で契約を締結してから、引渡までに回答、または回答に値する確認が得られてから決済、という流れになることとなります。

よって、一括決済や契約日から短期での決済スケジュールは組めないことに注意してください。

 

今まで都市計画施設の区域内なら、都市計画法第53条及び第54条のみ特記すれば足りる、と安易に考えていた方。今後は面積にも意識してそれに該当する可能性のある物件と判断したら、都市計画担当者以外にも用地関連の担当者に「公拡法」について確認しておくことが重要です。

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