重要事項説明(読み合わせ)代行は違法‼

画像当事務所では、ときどき下記のような問い合わせをいただくことがあります。

「3日後に不動産売買契約があるのですが、弊社も相手方仲介業者も自社に従事する宅地建物取引士が都合により手配ができません。どなたか宅地建物取引士で重要事項説明書の説明(読み合わせ)を代行していただける人はいませんか?書類はすべてできあがっています。」

これは宅地建物取引業法を遵守するつもりでそのような手配をするのでしょう。

確かに、宅地建物取引業法第35条第1項では「宅地建物取引業者は・・・宅地建物取引士をして、(必要な事項を)記載した書面を交付して説明をさせなければならない。」と規定されています。

ちなみに、「宅地建物取引士」とは宅地建物取引業法第2条第4号に「宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。」と規定されており、これ以外にこの法律では「宅地建物取引士」について定義はありません。

このため、「宅地建物取引士」であれば、他社に従事している人、どこにも従事していない人でもいいのでは、、、と思う人もいてもおかしくはありません。

しかし、当該取引にかかる重要事項説明ができる人は、その取引の売主である宅建業者またはその取引にかかる仲介業者に従事する宅地建物取引士に限られます

このことについては宅地建物取引業法に明文の規定はありませんが、この法律の全体をしっかり見てみると、(重要事項説明の代行というものが)「違法」であると普通に解釈できることがわかります。

まず、一般的な重要事項説明書の書式では冒頭部分に当該取引に関係する宅地建物取引業者名と「説明をする宅地建物取引士」を記載する部分がありますが、ここには当然、当該取引に関係する宅地建物取引業者に従事している宅地建物取引士の記名・押印が必要であることは自明でしょう(「専任」でなくても構いません)。そしてその者によって説明がなされなければならないので、いくら宅地建物取引士であっても「説明をする宅地建物取引士」欄に記名・押印がない者が(いくらピンチヒッターであったとしても)説明することはもちろんできません。

次に、宅地建物取引業法第48条第1項では「宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。」と規定されているため、当該取引に関係する宅地建物取引業者に従事している宅地建物取引士についても従業者証明書を携帯させる必要があり、※これができない(従業者ではない)のであれば、まずはこれをもって「違法」という扱いとなります。

※普段から貴社の従業者でもない人に、その日だけの従業者証明書を持たせ「(貴社の従業者である)宅地建物取引士」になってもらい、重要事項説明書冒頭の貴社欄の「説明する宅地建物取引士」に記載することは、後日に残る重要書面となるがゆえ、必ず証拠として残ってしまうので絶対にしないでください(買主がその他の不満がもとに、重要事項説明書を持参し宅建業法所管の窓口に相談へ行かれたら、これを理由に監督処分を受けることになります…行政処分って、買主の不満についてそのまま理由ありとして発動することはほとんどなく、これをきっかけにアラを探されて宅建業法違反を見つけ出され処分してくるものなのです)。

よって、宅建業法を守るためにこのような段取りをしても、これらについて守られていないようであれば、仮にどこかの「宅地建物取引士」を手配したとしても従業者証明書の携帯、従業者名簿の備付等の義務違反には少なくとも問われることとなり、一般消費者の通報などによって監督行政庁から指示または業務の停止処分を受けることがあります。

 

では、適法に当該取引に関係しない宅地建物取引業者の従事者である宅地建物取引士によって重要事項説明を行わせるにはどうしたら良いでしょうか?

⇒それはその取引士が従事する宅地建物取引業者を共同仲介業者(あんこ)にすることです!

この業者を重要事項説明書冒頭(免許・供託情報欄)に他の宅建業者と同様に併せて記載し(欄が足りなければ別紙にして)、「説明をする宅地建物取引士」のところに本当に説明する宅地建物取引士の氏名等を記載するのです。

こうすれば形式上違法にはなりませんが、当然「あんこ」となると、仲介手数料を「説明をする宅地建物取引士」を提供した宅建業者にもそれなりに分けてあげなければなりません(ただし、責任も共同責任とさせることができます。)。また、そもそも当該物件の概要も把握していない者による即席の重説読み合わせは、宅地建物取引業法第1条の「・・・その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする。」の趣旨に反してしまい、ひいては一般消費者から信頼を失うことに繋がることから、これも回り巡って何らかの違法行為が発覚される引き金となってしまうことに繋がりかねません。

契約日当日に宅地建物取引士が不在とならないよう、社内で資格取得を奨励していくことが望ましいかと思います(ちなみに、当事務所関連会社である不動産法務リサーチ㈱は、全員宅地建物取引士の有資格者です)。