当事務所にはこんなお問い合わせがよくあります。
「宅建業の免許を持っている会社で売りに出している会社はありませんか?」
「宅建業の廃業を検討している会社はありませんか?」
「M&Aを希望している不動産会社は知っていますか?」
・
・
確かに当事務所では今までそのような話がなかったわけではありません。
ただ、正直タイムリーにご紹介できるほど頻繁にある話でもないため、ご紹介したケースはありません。
でも、なぜそのようなお問い合わせがあるのでしょうか?
およそ考えられるのは、
①すぐにでも宅建業を始めたいから。
②営業保証金または弁済業務保証金分担金、保証協会の加盟金を節約したいから。
③免許証番号を引き継げるから。
以上の3つのいずれかの理由に尽きるのではないでしょうか。
そこで私はいつも(心の中で)思うのです、「それは大変早計なお考えですね。」と…
売却や廃業、吸収合併を希望する「会社」は、数字でわかる情報のみならず、瑕疵(目に見えないキズ)を抱えているのが通常です。
しかも、許認可がありながら売りに出していたり廃業を検討している会社は、帳簿上の債務のみならず保証債務などの簿外債務があったり、潜在的な損害賠償債務(取引直後では顕在化しないトラブル)、行政処分リスクがあることを予感している場合もあり、まさに地雷を抱えていると言っても過言ではありません。
もしかしたら、会社を購入後、数年前の顧客と名乗る者から媒介責任を追及され、突如多額の損害賠償請求を受けるかもしれません。
また、その賠償請求が係争に発展し裁判で敗訴した場合、その債務名義をもって免許権者が行政処分を発動し、せっかくの免許が取り消されるかもしれないのです。
そんなことを考えたら安易に会社を買う、または吸収するなどの発想には至らないのではないでしょうか?
何かを端折れば、何かを失うか地雷を保持し続けなければならないのです。
なので、せこいことは考えず、誰の色にも染まっていない自分の会社を設立し、新規に免許を申請する方向で考えましょう。
そうすることが断然、成功への近道であると思うのです。