起業するに当たっては、なるべく借金をせず小さく始めるのが基本です。
宅建業も例外ではなく、まずは自宅の一部で開業できないかを検討することもよいでしょう。
しかし、ご自宅が居住用にしか利用できない賃貸住宅であったりして、どうしても「事務所」にできない場合もあります。
そんなとき、思いつくのがレンタルオフィスやバーチャルオフィス、シェアオフィス(以下、「レンタルオフィス等」という。)だったりするのではないでしょうか?
ちなみに、宅地建物取引業法では「事務所」について条文にその定義がでてきません。
唯一その定義は、政令で「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」、東京都宅地建物施行細則では「宅地建物取引業の業務を継続的に行うことができる施設を有し、社会通念上事務所として認識される程度の独立した形態を備えたものとする。」という程度です。
最低面積要件すらないのです。
ならばやはり、宅地建物取引業を開業するのに「事務所」はさほど重要な問題ではなく、レンタルオフィス等でも全く問題なさそうだ…
ところが、そのように考えてしまうのは残念ながら大変早計なことなのです。
なぜなら、少なくとも東京都ではこの「事務所」を社会通念上と消費者保護を理由に、非常に狭く解釈しているからです。
(対面式の接客テーブルの配置は可能か、24時間お招き可能か等)
よって、レンタルオフィス等では免許が受けられないことが少なくありません。
それでもなお、レンタルオフィス等で免許を受けることを希望される場合は、不動産業所管窓口で寸法入りの平面図と写真(室内はもちろん、通路等も)、規約概要を持参して必ず事前相談を受けるようにしてください。
事前相談を受けずに本店登記をしてしまっていきなり申請すると、免許が下りなかった時の経済的・時間的損失は計り知れません。過去には免許が得られたレンタルオフィス等でも現在では得られないこともあります。
許認可が得られるということは、社会的に「信用」という大きなメリットを享受できます。
そのためには、「事務所」が貧相であってはなりません。
「ツラ構え」はとても大事。
わずか一坪の床面積すら用意できないなら不動産を開業する資格はない、と心得ましょう。