大抵の職種においては、仕事が早い方が遅い人より重宝されます。
確かに、仕事が早い人は頭の回転が速い…
【ちなみに、私はサラリーマン時代、仕事が遅く上司によく窘められていました。】
しかし、今私が独立して物件調査や契約書類の作成をしてみると、この仕事に限っては「仕事が早い人」は仕事ができない、と言うことに気が付きました。
私がレビューすると、穴だらけ。誤字脱字はもちろん、文章も意味不明。読み合わせをする宅地建物取引士やそれを聞くエンドユーザーのことなど全く無視。やっつけ仕事感が半端ない…
つまり、全く「調べて、考えて、配慮して」仕事していないのです!
私はいつも言っていますが、「不動産」は世の中2つと同じものはないのだ、ということ。
先日も、世田谷区の2つの物件調査で、わずか10mしか離れていないにも関わらず、法令上の制限だけでも大きな違いが沢山ありました。
それだけ、物件調査や重要事項説明書、売買契約書の作成は高度な注意力を要する難しい仕事なんだと。。。
パターン化できる仕事なら早くこなせる人の方が有能と言えるでしょう。
でも、こと物件調査やその内容を反映させた書類作成には、許される限りにおいて時間をかけて、調べながら、考えて、思いやりをもって作業をするクセをつけてください。
重要事項説明書や契約書の特約などの作成を、遅くとも一泊二日で(現地・役所調査1日、起票1日)できないようなら失格、なんてくれぐれも思わないように…
それを急がせる、または、早く仕上げることを有能と解する上司または経営者は利益至上主義の「バカ」なんだ、と思ってください。
知識や実力が身についているのであれば、逆に沢山の論点が「バァー」っと、開けて見えてくるものなのですよ。
※例えば、対象地に擁壁があっても平気でスル―していませんか(がけ条例や建築基準法、都市計画法、宅地造成等規制法、土砂災害防止法などの規制がすぐに頭をよぎらないようではダメですね)。
ほかに、前面道路が高い位置にあり、低い敷地に接道させるために取付階段が設置されている場合→道路占用許可の要否、排水面で問題はないか等について考えていますか?
なので、十分な時間が与えられているようなときに、むしろその時間を持て余しているような人は逆に能力不足だと自覚することです(「自分は頭がいいから」、なんて勘違いしないように)!
とにかく、この仕事は何より「探求心」を持つことが大事。
それだけ、「不動産」はアカデミックでインテリな仕事、ということに誇りをもって真摯に取り組んでいただきたいです。
そのあなたの「こだわり」が最終的に取引の安全性を高め、一般消費者の保護はもちろん、取引関係者を皆ハッピーにさせるものなのですね。