不動産調査日記 第7回~北海道・ホッピング編~

さて、久々の不動産調査日記の更新です。

最近は私自身が物件調査に行く機会はほとんどなくなり、代替不可能で優秀なスタッフにお願いしています(当然、丸投げはしません。私自身の職責でレビューはしっかりさせていただいています)。

 

ところが、「平成」が終わろうとするこの年度末。

大変有難い全国に渡るバルク案件が来まして、私自身もこのたび四泊五日で北海道案件の物件調査を担当することとなりました。

 

このように飛行機を使うほど遠方の案件も最近ではちょこちょこいただけるようになりました。

中でも何故か北海道が多いですね。

ちなみに私は国土交通省職員時代、約6年札幌に在勤していたので、比較的土地勘はあります。

 

さて、遠方出張の案件で大事なことは、スケジュールの日程を崩さず、かつ、調査漏れが許されないこと。

なんか仕事で出張、しかも北海道、というと皆さん「いいな」と思うかもしれませんが、ご依頼いただきましたクライアント様のために、決して気を緩めずに調査に徹する気持ちを持つことが一番大事なのです。

羽田空港を朝6:20発のJAL便に乗るために、バスタ新宿5:00発に乗らなければならず、寝過ごすことがないように前夜は一睡もしませんでした。

KIMG0005

朝5:30には羽田空港に到着。

こんなに朝早くから結構人がいましたね。

KIMG0008

そして何とか新千歳空港に到着。

これからレンタカーを借りて大雨の中、まずは苫小牧市役所に向かいます。

KIMG0011

役所調査はこの苫小牧市役所のほかに、埋蔵文化財調査センターや室蘭市にある北海道の出先機関「胆振総合振興局」に行かなければなりません。

ところで、苫小牧から室蘭って、どのくらいの距離か想像つきますか?

北海道胆振地方

およそ70kmはあると思います。

道内の物件調査、一歩間違えたら移動だけで一日飛んでしまいますね。

なので、今回もそれなりに予習はしたつもりです。

宿も今日から二日間は室蘭です。

徹夜明けで眠い目を擦りながらなんとか一日目を終え、忘れないうちに宿ですぐ起票作業。

二日目は、伊達市と登別市の調査です。

DSCN9088

二日目の朝、国道沿いのご当地コンビニ「セイコーマート」で朝食を摂った後、最初に現地に行きました。

案の定、公図のとおりの区画割はなく、原野が壮大に広がっています。調査対象地を正確に物件特定することは不能。

いわゆる「原野分譲地」っていうところでしたね。

KIMG0012

伊達市では市役所と図書館をめぐり、苫小牧の物件管轄と同じ胆振総合振興局に行かなくてはなりません。

今日の午後は登別での調査でも胆振総合振興局が管轄です。

昨日の苫小牧市の物件と併せ、三日目に回します。

KIMG0015

伊達から登別へ向かう途中、道央道の有珠山パーキングで昼食。

そこから眺める景色がこれ。写真より実際の方がより壮大でした…

KIMG0018

さて、三日目は胆振総合振興局での調査を行ったあと、また新千歳空港に向かいレンタカーを返却します。

そして快速エアポートに乗って次の調査地「札幌」へ。

札幌には二泊滞在します。

KIMG0020

ちなみに私は札幌に来るとまず真っ先にこの豚のバラ肉がのった「肉チャーハン」を食べに北大近くにある「ラーメン大将」という店に行きます。

札幌に住んでいた時、この店のすぐ近くに官舎がありましたので、毎日のように食べていました。本当に飽きない味なのです。

KIMG0026

予定より早く札幌入りできたので、早速前倒しで調査開始。

現地ではマンションの管理室でヒアリングや書類を預かったあと、札幌市役所へ(時計台の右に建つビルが札幌市役所)。

翌日四日目の調査に少し余裕ができました…

無理せず前倒しに調査を進められるのなら、そうすることが遠方の調査の鉄則です。

KIMG0028

四日目はまず、札幌市営地下鉄東豊線の学園前駅が最寄となる上記下水道局の出先機関で埋設管調査。

あと数日で四月になるというのに見てください、この雪。結構降っていましたね。

このあと、隣の最寄り駅の近くにある水道局の出先機関でも調査を行い、お昼を摂るため札駅(地元の人は「札幌駅」と言わず、「札駅」と言う人が結構います)に戻ります。

KIMG0033

この店は「とっぴ~」。JR札幌駅から小樽方面に一駅、「桑園」という駅の高架下にあります。

私が在札の頃は、120円皿と220円皿しかなく十数枚食べても2,000円もいかないくらい安い店でしたが、今は高級店ですね。

当然、ネタは素晴らしいですよ。

KIMG0031

調査地の最後は、市電に乗って20分以上でしょうか。

札幌市中央図書館での地歴調査でした。

 

そして最終日五日目の朝、ホテルをチェックアウトしてからはまっすぐ新千歳空港へ。

予備日にしていましたが、調査が四日目までに終わらすことができたので空港ラウンジでずーっと、起票作業。

美味しいトマトジュースと北海道牛乳、そしてアイスコーヒーを無制限にいただきながら…

 

そして夜21:30、ボーイング737-800でやっと帰路へ。

 

決して楽ではない出張でしたが、ときどき気分転換もさせていただき、今回ご依頼いただいたクライアント様には大変感謝しております。

引き続き、他社様含め遠方の調査のご依頼を当事務所ではお待ちしています(今回は多数一括ご依頼の案件だったため、こういう場合はウチの事務所なら一切の旅費(航空券、宿泊費、レンタカー代など)別途いただかないで承ることができる場合があります。)!

不動産調査日記 第6回~前橋市編~

IMG_0319IMG_0320

上は事務所を出発したときの外の写真、下は最寄り駅に着いたところの写真です。

「5:31」?? こんな夜も明けない早朝から釣りに行くのではありません。

最近はお陰様で著しく案件が増えたため、専属スタッフに調査を任せることも多くなってきましたが、今日は久しぶりに私が調査を担当。

今回の調査対象地は群馬県の県庁所在地・前橋です。

ではまずは丸の内線で東京駅に向かいます!

IMG_0322

夜明けの東京駅7番線に前橋行き普通列車がやってきました。

これから2時間13分の電車旅が始まります。

新幹線を使えばここまで早く起きなくても済み、しかも快適な旅になるでしょうが、アップグレード分までクライアントに転嫁するわけにはいきません。

しかし、さすがに行くだけで疲れてしまって調査でミスしては元も子もないので、行きはグリーン車を使うことにしました。

IMG_0323

まだ早朝なので、東京駅といえどもKIOSKやニューデイズは開店前です。

唯一駅弁だけが売っていましたので、買ってみました。

駅弁は値段が高くて、冷たくて、量も少ないので正直私は好きではありません。

しかも案の定、いくらがしょっぱく、サーモンハラスのギトギト油で胃がもたれてしまいました。

(良い感想を言えず申し訳ありません。)

IMG_0330

さあ、やっと終点の前橋に到着。

駅北口から新前橋方向へ100mくらい進むと自転車駐輪場があり、ここでいつものように自転車を借ります。

「今日は法務局、市役所、水道局、図書館、現地で終わりかな?帰りは16:00過ぎの新前橋発特急草津にでも乗って帰ろかな。」なんて考えながら、早速法務局へ。

DSCN7491

すごく出来立ての綺麗な庁舎です。

前橋地方法務局はここの4階にありました。

DSCN7492

隣接公図も取得して、隣地の登記事項証明書も取得したため、少し時間がかかってしまいました。

時刻は午前10:00頃。

ここは(上記写真)前橋市役所です。

DSCN7493

調査は庁舎の高いところから始めて下ってくるのが山地流。

そこで教育委員会がある10階から始め、階段で徐々に降りて行くことに。

まず10階で埋蔵文化財包蔵地の確認からスタート。

 

⇒ところが、埋蔵文化財の所管部署はこの庁舎内にあらず。

しかも電話では回答していただけませんでした。

ファックスでは回答してくれるそうですが、

事務所を離れてしまっているので、

今日を逃すと週明けになってしまいます。

市役所からは車で20分くらい、ということなので、

おそらく自転車では30分以上かかるでしょう。

すごくショックでテンション⤵⤵

これで行先が1つ増えてしまいました。

 

<前橋市役所内での不動産調査関連部署>

・都市計画課:用途地域、景観法、屋外広告物

・建築指導課:開発登録簿、建築計画概要書・道路種別・建築物の高さ等の制限

・環境政策課:土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、下水道法、群馬県生活環境保全条例

・危機管理課:浸水履歴、土砂災害警戒区域

・道路管理課:道路台帳、街路灯、雨水の排水先

・廃棄物対策課:残土条例DSCN7494前橋市役所では浸水履歴を確認することができますが、浸水想定区域の確認については現在最新の情報を持つ群馬県河川課が所管、とのこと。

県庁訪問は予定外だったものの、市役所のすぐ近くにありました。

ちなみに、何といっても群馬県庁は県民の誇りで、高層階にあるレストランはデートスポットになっているらしく(なんかの番組で言っていました)、一度は行ってみたいと思っていたところでした。

ただ、今日は遊びではなく、優雅に街を眺めながらランチしている時間はありません。お昼12:00ちょうどに県河川課でのヒアリングが終了。

IMG_0332

先ほどの法務局がある合同庁舎の1階食堂でお昼を取ることに。

また、いつものとおりカレーライスをいただきました。

DSCN7495

お昼の12:20。

役所がお昼休みのうちに少しでも調査を進めるには、

①移動の時間に充てる

②市役所市民課(昼も窓口はやっています)で住所表記のヒアリングを行う

③現地調査

④図書館で古地図調査

があります。

今日は市役所隣の市立図書館で古地図調査に昼休みを充てることに。

DSCN7497

次に、埋蔵文化財包蔵地を調べるために遠く離れた文化財保護課までサイクリング。

利根川の景色を眺めながら自転車を走らせ続けます。

DSCN7500

埋蔵文化財包蔵地であるかどうかの調査は超重要!

売買対象物件が包蔵地内であれば試掘調査によって建築工事がストップすることも…

不動産の価格を形成する要因にもなるため、賠償問題に発展するケースも十分考えられます。

絶対に端折ってはいけない調査なのです。

DSCN7502

さらに自転車で20分くらい。

上下水道はここの庁舎で調べます。

図面を取得するだけでなく、必ずヒアリングすること。

私の調査対象地ではヒアリングの結果、図面は最新の情報に更新されていないことが判明。

こんなことはしょっちゅうなのです。

DSCN7503

役所調査の最後は群馬県前橋土木事務所。

前面道路が市道ではなく県道だったため、こんなところまで来ることに。

完全に予定外の訪問地でした。

モザイク処理済

最後に現地調査を行った後、前橋駅に戻ったのは午後5時過ぎ。

朝予想していた時間を大きく過ぎてしまいましたが、何とか今日も無事に一日で回り切りました。

少し駅でお茶でもしたかったのですが、すぐに電車が来てしまいました。

乗り遅れると30分以上待たなくてはならない両毛線。

もうすぐ54年の歴史を閉じる115系に飛び乗ることができて、結果的に今回も良い旅でした…

 

 

不動産調査日記 第5回~伊勢原市編~

伊勢原市は神奈川県の真ん中より少し西側にあります。隣接市町村は厚木市・秦野市・平塚市。

伊勢原市自体はあまり大きな街ではないため、特定行政庁ではありません。つまり、建築計画概要書や建築確認台帳記載証明書など、建築にかかる行政は扱っていないため上級の県の出先機関にも行かなければなりません。

このため、物件調査では特定行政庁かそうでないかによって、めぐる役所の数が変わるので事前調査でしっかり把握しておかないとその日のうちに終わらなくなってしまいます。

 

今日はめぐる役所が多く、またそれぞれの距離間もありますので、自動車を使って調査に行くことにします。

IMG_0183

さて、朝の8:30を過ぎたところ。

東名高速道路の港北PAで早速休憩です。

自動車で神奈川方面の調査の行きは必ずここへ立ち寄ります。

IMG_0184

なぜかといえば、ここは地元のブランドの豚肉を使ったメニューがすごく美味しいのです。

やまゆりポークを使ったとんかつ定食も有名ですが、私はここのカツカレーが大好物。

まだ、お昼には程遠い時間ですが、朝食も兼ねてこれから始まる長い調査のためにここでしっかり腹ごしらえをしておきます。

IMG_0185

最初の調査地は厚木インターを降りて厚木市街にある法務局へ。

対象地の登記事項証明書・公図・地積測量図・建物図面のほか、隣地の登記事項証明書も取得して前面道路の所有者や売買対象とする土地建物が漏れていないか、などを確認します。

IMG_0186

次に、神奈川県厚木合同庁舎の2号館で水道の埋設管調査です。

あとで、平塚合同庁舎にも行きますが、同じ神奈川県の機関にもかかわらず、水道は厚木、建築・開発は平塚、と別けているのが民間人(不動産調査者)に対するイジメですかね。

ちなみに、東京都の多摩方面の市町村も同じです。一つの物件調査にも関わらず、立川や府中、小平と都の出先をハシゴするのです…

IMG_0187

ここでやっと、伊勢原市役所での調査に入ります。

ここでは建築や開発、土壌汚染以外の下記調査を行います。

建築住宅課…用途地域

都市政策課…景観法

土木総務課…道路台帳平面図、道路幅員、境界査定等

危機管理課…浸水履歴

教育総務課…埋蔵文化財包蔵地の確認

IMG_0188

ここで唯一救われたのは、図書館が市役所の横にある、ということ。

間髪入れずに地歴調査が可能でした。

アクアクリーンセンター

ところで伊勢原市の場合、下水道関連部署も市役所内にはありません。

上記地図のとおり、伊勢原市役所から自動車で約10分から15分のところのアクアクリーンセンターというところへ行かなければなりません。

アクアクリーンセンター内の下水道業務課で下記を調査します。

・下水道法上の特定施設の有無

・下水道台帳平面図の取得

・合流地域か分流地域か

・(分流の場合)雨水の排水先

・下水道使用料の発生の有無(発生していない場合、浄化槽使用の可能性があるため)

 

そして現地調査後、神奈川県を南へ縦断して平塚合同庁舎で下記を調査します。

建築指導課…道路種別、建築計画概要書・台帳記載事項証明書の取得

環境保全課…土壌汚染対策法上の要措置区域・形質変更時要届出区域の指定状況の確認、水質汚濁防止法上の特定施設の有無、神奈川県生活環境保全条例上の公表された土地の確認

IMG_0191

今日もたくさんの調査箇所を回り終え、ようやく帰路へ。

帰りは海老名サービスエリアで休憩です。

IMG_0192

この牛串1本と鰺の押し寿司を土産に本日の調査は終了です。

 

明日もまた見知らぬ土地へ行くでしょう。

旅は続きます…

 

不動産調査日記 第4回~埼玉・伊奈町編~

本日の物件調査先ですが、大宮から「埼玉新都市交通ニューシャトル」というモノレールみたいな乗り物で行く珍しい場所です。

IMG_0164

上越新幹線沿いを走ります。そして揺られること20分くらいでしょうか。

「伊奈中央」という駅に到着です。

そこで、改札にいる女性の駅員さんに「自転車を借りたいんですけど…」と申し伝え、保証金500円を払うとこんな自転車を貸してくれました。

IMG_0169

いつも思うのですが、レンタサイクルはとてもカッコ悪くて恥ずかしい…

おそらく盗まれないようにわざとカッコ悪くしているのでしょうね。

IMG_0167

まずは伊奈町役場で調査開始。まだ、朝8:40なので調査はスイスイです。

IMG_0170

都市計画課…用途地域、景観法、開発登録簿、道路種別、換地図の写し

土木課…道路台帳平面図、道路査定図の徴求、道路番号・認定幅員の照会

生活安全課…浸水履歴、ハザードマップ

生涯学習課…埋蔵文化財包蔵地の確認

総務課・住民課…住所表記の確認

IMG_0171

次に町役場から自転車で5分の上下水道庁舎にやってまりました。

ここでは、上下水道の埋設管図のほか、下水道法上の特定施設の有無、対象物件の下水道使用状況、雨水の処理方法などをヒアリングします。

IMG_0172

現地ではこのような高圧線が近くを通っていました。

こんな場合、みなさんならどうしますか?

「本物件●●側約●●m の上空に●●●●所有の送電線が通過しております。気象条件によっては、騒音・電波障害等が生じる可能性がありますので、あらかじめご承知おきください。」

重要事項説明書にこのような記述でまさかオシマイではないでしょうね。

私なら、鉄塔にあるプレートを見つけ出してそこに連絡し、電圧と建築規制の有無を確認します。また、特段建築規制がない距離だとしても離隔距離の確認も行います。

ちなみに離隔距離ですが、電線の揺れ幅も考慮する必要があるそうです。

例えば、離隔距離が3.6mだとしても強風時はもっと広がる可能性がありますから、そこを含めて建築規制に影響する距離を送電線管理者に確認を取る必要があるのです。

本物件は幸いにも送電線が鉄塔近くにあるため、揺れ幅はそれほど大きくなく問題なし、という回答をいただきました。

IMG_0173

さて、次は伊奈町を離れて建築確認記載事項証明書をもらいに越谷建築安全センター杉戸駐在に行きます。

特定行政庁(建築主事がいる自治体)以外はこのように一か所で役所調査が終わらないのが本当に難点…。

杉戸は東武動物公園駅が最寄なので伊奈町から本当に遠くて大変です。

そこで、時間はお昼近く。そういえば、法務局調査がまだなので、途中駅の久喜にある法務局へ行くことに。

法務局での 登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)は現在、民間業者が受託しており、お昼の時間帯でもやっています。

時間の有効活用のため、今日の昼食は電車の待ち時間にこのサンドイッチをかぶりつくことでガマン、ガマン(大宮駅構内で買いました)。

昼食時間を普通に取るヒマがないことは多々あります。

IMG_0175

久喜駅から徒歩で30分くらいでしょうか。

やっと法務局に到着です。ちょっと時間がかかりすぎました。

戻りはバスがあることを職員さんからご案内いただいたおかげで、わずか10分で久喜駅に戻ることができました。

IMG_0178

そしてやっと、東武動物公園駅に到着。ここからはやむなくタクシーで杉戸駐在へ。

他の建築安全センターより早く書類を交付していただいて助かりました。

IMG_0180

今日の最後は永田町にある国立国会図書館で地歴調査。

伊奈町の図書館は休館日だったため、こんなところまで来るはめに(東武動物公園から約1時間半)。

しかもここでの調査・作業は約2時間近くかかります。国会図書館では時間に余裕が必要です(平日複写は18:00までの受付です)。

IMG_0181

今日も朝の6:40に出発し、調査終了時刻は18:00。

すっかり暗くなっていました。

それにしても不動産売買における重要事項説明書の作成に必要な物件調査作業はいかに大変なのがお分かりいただけますか?

不動産鑑定や金融機関の担保調査とは比べ物にならないほど、日中の余裕はありません。

わずか一取引に係る一件の調査に「朝早くから開始して今日もなんとか一日で間に合った…」というのがいつもの感想なのです。

東京都23区外の非特定行政庁なんて、都内にもかかわらず車で走りまくっても一日で調査が終わらないことが多々あるくらいです。

 

不動産調査日記 第3回~宇都宮市編~

今朝は6:40に家から直行、新宿駅からは湘南新宿ラインで北へ2時間。

栃木県の県庁所在地である宇都宮市にやってまいりました。

宇都宮市の物件調査は今回でもう5回目くらいでしょうか。

だいぶ段取りがわかってきまして、今回もレンタサイクルを利用します。

IMG_0140

JR宇都宮駅西口を出て、北方向へ2,3分歩くと上記ような建物があります。

夜の9:00まで100円、電動自転車なら300円で借りられます。

初めての方は身分証明書を持参のうえ、登録手続きを受ける必要があります(時間はそんなにかかりません)。

IMG_0144

近年ヘタレ気味の私は迷うことなく電動自転車を選びました。

今日は約20kmは走行するでしょう。

では、早速法務局へ。IMG_0145いつもなら、登記関係の調査は前日などに事務所の近くの法務局などであらかじめ行うのですが、本件のご依頼に基づく物件確定は昨日夜でした。

よって、一日で法務局調査からすべてを終わらせなくてはなりません。

ここで手こずっていては、今日中に物件調査が終わらなくなります。

本件は大のお得意様からのご依頼であらかじめ調査日を押さえていただいていたため何とか対応していますが、一回や数回程度のお客様におかれましては急なご依頼に対応できない場合が通常ですので何卒ご理解ください。

IMG_0147

法務局調査では隣接公図も調べて取って隣地すべてを洗い出して登記事項証明書を取得するなどしたため、予定の時間を大幅に過ぎてしまいました。

本来なら次に宇都宮市役所での調査を行いたかったのですが、既にお昼近くなので、やむを得ず急いで上下水道局へ。

図面管理室(4階)…上下水道埋設管図

工事受付センター(4階)…下水道の供用開始時期、下水道使用料の発生についての照会(下水道接続・使用されているかの確認)

下水道管理課(3階)…下水道法上の特定施設の有無

 

役所が昼休みに入ったところでその間現地調査に行ってきます。IMG_0148現地調査を終えて宇都宮市役所に着いたのは午後1:00。

もう、役所の昼休みは終わり、窓口は再開する時間ですが、ここでサクッと昼食を摂ることに。

IMG_0151
せっかくの宇都宮なので本来は餃子、と行きたいところですが、ここはガマン。

カレーライスを頼んで10分で完食。

早速、調査再開です。

IMG_0154
都市計画課…用途地域等都市計画情報、景観法、開発登録簿等
 ※宇都宮市の開発許可は市街化区域なら1,000㎡以上

建築指導課…建築計画概要書、回答書(建築確認記載事項証明)、道路種別、位置指定図の写し、中高層建築物紛争防止条例ほか

道路管理課…道路台帳平面図の写し、道路番号、境界確定の有無など

環境保全課…土壌汚染対策法関係、水質汚濁防止法上の特定有害物質使用特定事業場の有無

河川課…浸水履歴の有無、ハザードマップ、土砂災害警戒情報

文化課…埋蔵文化財包蔵地の確認

IMG_0157

最後に図書館で最古の住宅地図まで遡って地歴調査。

図書館での調査は夕方5時以降も開いていることが多いので、最後に回すと良いでしょう。

IMG_0159

すべての調査を終えて、JR宇都宮駅に戻ったのは夕方6:30頃。

もうすっかり外は暗く、肌寒い時間です。

これから新幹線を使わずに事務所に戻るとなると、夜9:00は回るでしょう。

今回は納期も短いので、電車内でゆっくり休むことにして事務所に戻ったらすぐに報告書(重要事項説明書)の作成に取り掛かります。

意外にお気楽ではなく、かなり時間的にタイトでハードな一面もある仕事であるとご理解いただけたかと思います。

次回もぜひお楽しみに!

 

不動産調査日記 第2回~相模原市編~

今回は相模原市中央区の物件調査です。

ちなみに物件調査では、現地をはじめ多くの役所をまわりますが、その際いちいち電車やバスを使っていては時間が足りず、また、タクシーなどを使っていては非常に多くの経費を使うことになってしまいます。

このため、私は調査訪問地を下調べする際にレンタサイクルの貸し出しがあるかについても調べます。

IMG_0121

JR相模原駅南口を橋本方面に約100m以上進むと、このような自転車駐輪場があります。

ここでは、レンタサイクルの貸し出しが行われており、1日当たり200円で利用が可能です。

IMG_0124

ギアなしのママチャリですが、なんとオートライト。

早速、現地に向かいます。

2017-11-01 12.29.24

現地のすぐ近くは線路敷きとなっていました。

こんなとき、不動産調査ご担当の皆様はどういうことを気にされますか?

まさか、「線路敷き付近のため、騒音、振動等がありますのでご承知おきください」というようなレベルの容認事項を重要事項説明書に入れて終わりでしょうか?

ちなみにJRのサイトではこんなページがあります。

http://www.jreast.co.jp/kinsetsukouji/

したがって、建築工事の際には鉄道事業者と事前打ち合わせが必要となる場合があることも併せて記載することとなります。

できれば、その連絡先を調べて併記してあげると良いでしょう。

 

では、次に市役所へ向かうこととします。

IMG_0127

政令指定都市にふさわしい立派な庁舎です。

時間はちょうどお昼になりました。

IMG_0128

本館の6階には食堂があり、お昼どきはだれでも利用することができます。

メニューはご覧のとおり。他に日替わり定食もあります。

IMG_0129

私はカツカレーとみそ汁をいただきました。

役所の食堂はリーズナブルでおいしいので、役所調査の際できる限り利用しています。

 

さて、時間はちょうど1時を過ぎたところ。IMG_0130不動産の調査は本館を超えた奥にある第一別館が主戦場のようです。

 

都市計画課…用途地域等都市計画全般をシステムで調べることができます。ほかに道路台帳平面図、建築基準法道路図、下水道台帳施設平面図も閲覧可能。

開発調整課…開発登録簿の写し、相模原市開発事業基準条例

都市整備課…区画整理事業、換地図の写し

建築審査課…建築計画概要書の写し、確認台帳記載証明書、道路種別

建築・住まい政策課…景観法、中高層建築物紛争調整条例、ワンルーム条例ほか

路政課…道路番号、認定幅員、境界査定の確認等

下水道保全課…水質汚濁防止法及び下水道法上の届出事業場名簿閲覧、下水道の供用開始時期の照会等

環境保全課(本館5階)…土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、下水道法、神奈川県生活環境の保全等に関する条例

危機管理課(相模原市消防指令センター3階)…浸水履歴

IMG_0136

相模原市役所から自転車で約15分程度。

上記水道営業所で埋設管の調査です。

なお、平成30年1月4日から給水課の窓口は16:00までとなるそうです(神奈川県内すべての営業所)。

水道埋設管調査は早めの時間帯に行うようにしないと調査が一日で終わらなくなってしまうかもしれませんのでご注意ください。

IMG_0139

最後は淵野辺駅から徒歩数分にある市立図書館で地歴調査。

 

以上の調査を無事に終え、自転車を返しに元の相模原駅へ。

時刻は17:30でした。

外はもう暗く肌寒い時期ですが、1年で一番調査しやすい時期かもしれません。

 

いかがでしたでしょうか?

今日の成果は明日起票し、夕方には依頼者にドラフトを送ります。

またのご依頼をお待ちしております。

 

不動産調査日記 第1回~平塚市編~

私は不動産調査をメインに仕事をしています。

今までたくさんの調査ご依頼により、関東を中心にいたるところに行かせていただきました。

例えば、先月(8月)は栃木県那須塩原市(1泊2日)、神奈川県藤沢市、横浜市青葉区、群馬県伊勢崎市、埼玉県行田市、栃木県下野市、東京都江戸川区…

という具合です。

 

いつも新鮮な景色に触れ、美味しい昼食を摂っているにもかかわらず、多忙な毎日のため、自身の記憶に残しても記録をしていないことがもったいないことに気づき、今後はできる範囲で調査日記をつけることにしました。

今回がその第1弾です!

単なる自己満足で終わらせず、不動産調査に勤しむ方々にお役に立てる情報もわずかですが盛り込んでいけたら幸いです。

IMG_0093さて、今回の物件は神奈川県の「平塚」。

新宿から湘南新宿ラインで約1時間。

市の中心駅である平塚駅はご覧の通りターミナル駅にふさわしい立派なたたずまいをしています。

 

一通りの現地調査を終えると、時間はお昼近く。

そこでご当地では有名な店で昼食を摂ることに。

IMG_0090

私が小学生のころ、実家の隣のおじさんがよく連れて行ってくれたあの酸っぱいラーメンをときどき思い出し、当時の記憶をもとに平塚漁港付近を捜したものですが、最近その時の店がこの店だったんだ、ということがわかりました。

今では平塚駅の近くにあります。

IMG_0091

お酢がきいたスープに、玉ねぎ、メンマ、ワカメだけ。

みなさん、ラー油をかけて食べていました。

メニューはこのラーメン(この店では「タンメン」という)と餃子のみ。

あっさりしていて美味しかったです!

 

調査に行く楽しみの一つは「昼ご飯」をどこで摂り、何を食べるか、です。

IMG_0096

さて、食後は運動を兼ねて平塚市役所まで徒歩。

15分ほどで真新しい立派な庁舎が見えました。

時間もちょうど役所のお昼休みが終わる午後1時。IMG_0099

まちづくり政策課…用途地域等都市計画全般、景観法

開発指導課…開発登録簿の写し、平塚市まちづくり条例

都市整備課…換地図の写し

建築指導課…建築計画概要書(H6年度確認分~)の写し、記載事項証明書、道路種別

土木総務課…下水道台帳平面図の写し、道路査定図の写し、道路台帳平面図の閲覧

道路管理課…狭あい道路関係

下水道経営課…受益者負担金納付及び下水道使用の確認、下水道法上の特定施設の有無

環境保全課…土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、神奈川県生活環境の保全等に関する条例

災害対策課…浸水履歴、各種ハザードマップ

市民課…住所表記

豊原分庁舎/社会教育課…埋蔵文化財包蔵地の確認(市役所から徒歩15分程度かかりますが、電話でも教えてくれます)。

IMG_0102

次に来たのが市役所から徒歩10分程度北にある神奈川県平塚合同庁舎。

ここでは3階の水道営業所で上水道の埋設管図をいただきます。

また、土木事務所も同じフロアにあるので、許認可指導課で河川保全区域などの調査も行うことができます。

IMG_0107

最後は合同庁舎の斜め向かいにある平塚市中央図書館で地歴調査。

過去現存する最古の住宅地図から十数年おきに現在に至るまで、調査対象地に何があったかの確認作業です。

当事務所ではご依頼があればここまで行います!IMG_0109

今日は特にクセのある物件ではなく、しかも平塚は役所が狭い範囲で固まっているおかげで明るいうちに帰路につくことができました。

まだまだ暑いこの時期。つかの間のひとときです…

次のご依頼を楽しみにしております。

>>不動産調査のご依頼はこちらをクリック