私は、宅地建物取引業者の事務支援として、不動産売買における重要事項説明書(物件調査含む)及び売買契約書のドラフトを作成することを主たる業務としています。
ただ、この仕事は非常にニーズがあるものの、大変難しく、人材開拓にとても苦慮しています。
「なぜ、苦慮しているのかわからない」「重説作ったことある経験者なら沢山いるはずだけど…」とよくいわれます。
しかし、「重説作ったことある経験者」の多くは、(直接または派遣で雇用されている)「自社」が当事者となる取引、または仲介するために(その従業者という立場で)作成すべき重説を作っている経験者です。
「自社で使うために作成する重説」が作成できるレベル(程度)の人…
ちなみに、弊法人は「他社」が一般個人・法人のために説明するに耐えうる重説及び売買契約書を作成する仕事をしています。
これ、わかりますか?
そう、宅建業者という「プロ」から、お金をいただいて納める重説・契約書となる重み。
「プロ」を超絶した「プロ」であらなければならない、ということ!
いわゆる士業の仕事の多くは、素人からの受託による代行業です。
ところが、ある意味独占業務として重説及び※契約書を作成できる権限を持つ「プロ」からの依頼、なのです。
※宅建業者が作成すべき「37条書面」を契約書として用いても差し支えない、という趣旨であり、本来「契約書の作成代行」は行政書士の職務となります。
だから私は、その成果物に対してすごくこだわります。記載すべき情報に解釈の間違い・思い込みがあってはいけないことは当たり前。
文章においても、固すぎず(法律の意義などには配慮して)、わかりやすく書くことを意識しています。
その「こだわり」から、「優しい重説」と言われることもあり、今では多くのクライアント様からご好評をいただいています。
しかし、弊法人にかつて応募などで入社した調査員から、私のこだわりによる文章の修正や調査の不備による指摘が「細かい」と。「自分がいた会社の重説はそこまで深く考えたり、調べたりしなくてよかった」と言われたことがあります。
確かに、調査員の調査成果に対して「その情報に不備、または怪しい」と思ったら、私は逐一役所に電話でヒアリングしており、その確認した結果を伝えたりすることにあると思います。
また、法令の概要・用語の定義等については、自身で役所のホームページや法律の条文などを参照して細かく作文していきます。
これについては、私の方で修正・追記等の作業しているので、さほど迷惑はかけていないと思いますが、(自社の重説を作成していた、というレベルの)調査員からすると、この私のすることが「小さいこと・どうでもいいこと」と感じているとともに、それがかなりのプレッシャーとなっていたようです。
ちなみに、私の「こだわり」をもう少し説明すると、ご依頼いただいている会社に所属し、実際に重説・契約書を説明する宅地建物取引士ができるだけストレスなく、あまり質問を受けずに読み合わせできること、そして、それを聞く一般個人・法人の担当者が重要な論点をスムーズに理解できることに重きを置いています。
そのため、決して「小さいこと・どうでもいいこと」とは思っていません。
要は「どこを向いて仕事をするか」、ということだと思うのです!
弊法人の調査員及び今後弊法人の調査員となる人は、「いいクライアント、そして良質な仕事を開拓し維持し続ける大変さ」「最終的な責任を取るのは誰なのか」などについて、自分が経営者になったつもりで十分ご理解いただきたいと思います。
それを斟酌して理解できる地頭があれば、自分なりの仕事に対する誠意や信念、そして探求心が生まれ、数年後には物件調査及び重説作成の経験だけで軽く本一冊は書ける専門知識・法的思考力・文章力が身に付くはずです。
単なる自己満足のために「こだわり」を持ち、相手に押し付けて迷惑をかけることはいけませんが、「重要事項説明書・契約書作成の意義」を理解して、自分なりの「こだわり」を持って仕事に取り組んでいくやりがい・楽しさを知ってほしい、と思っています。
併せて、調査員が効率よくスキルアップできる仕組みづくり(定型文やマニュアルなど)の作成に努めていきたいと思います。
以上は、宅建業の経営においても同じです。(私と同じように)強い「こだわり」をもって仕事に取り組んでみませんか? ひいては、それが他社との差別化につながるのです。