趣味・興味起点の開業戦略

独立開業を検討するに当たり、従前の職歴や実務経験を基盤として事業を開始することは、業務理解や顧客対応の蓄積をそのまま活用できる点で有利といえます。

もっとも、当該前歴を有しない場合であっても、全くの未経験分野から出発することが唯一の選択肢ではありません。趣味や興味のある分野を土台とすることにより、ゼロから新たに分野を選択する場合と比較して、現実的かつ継続性のある事業展開が可能となります。

趣味や興味のある分野については、日常的な関与を通じて知識及び経験が蓄積されていることが通常です。物事の見方、情報の取捨選択、良否の判断といった基礎的な能力が既に形成されているため、事業として必要な水準への引上げも比較的円滑に行うことができます。

このことから、当該分野に関する蓄積は、事業の出発点として十分に機能し得るものです。

一方で、「趣味や興味の延長線上ではビジネスは成立しない」との指摘がなされることがあります。この点については、趣味感覚のまま、責任や対価を伴う意識への転換を行わない限り、事業として成立しないという趣旨においては妥当です。

しかしながら、これは趣味や興味を出発点とすること自体を否定するものではありません。すなわち、趣味や興味を土台としつつも、それを職業として遂行する覚悟と水準へ引き上げることができるか否かが問題であり、出発点の性質そのものが問題となるわけではありません。

重要なのは、趣味や興味に基づいて得た知識及び経験を整理し、顧客に対して価値として提供できる形に転換することです。強みの明確化、サービス内容の具体化、継続的な研鑽を通じて、対価に見合う専門性を構築する必要があります。この過程を経ることにより、個人的関心は事業上の競争力へと転化し、他者との差別化を図る基盤となります。

以上のことから、開業に際しては、前歴がある場合にはこれを活用することが有効である一方、前歴がない場合であっても、趣味や興味のある分野を避ける必要はありません。むしろ、当該分野において既に有している知識及び経験を土台とすることにより、全くのゼロ分野から開始する場合と比較して、成功に至る可能性は高まるものと考えられます。

したがって、趣味や興味を出発点とすることを躊躇するのではなく、それを事業として成立させるための意識及び体制を整えることが重要です。

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