宅建業免許要件

不動産業(宅建業)の免許要件等

「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)の施行に伴い、宅地建物取引業法に関して従来旧建設省から各都道府県に発出された通達は一律廃止されました。
これにより、各都道府県は同法の解釈や運用につき独自に定めることができるようになったため、免許申請に当たっても、全国一律の審査基準ではないことに留意する必要があります。
以下は東京都知事免許申請について、開業予定者が周知していると思料される部分をなるべく除いた重要論点のみをご説明します。

1.欠格事由

免許申請者である法人または個人、役員等支配力を有する方、法定代理人、契約を締結する権限を有する使用人のうち、
○5年間免許を受けられない場合
免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為または業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行なった場合
禁錮以上の刑に処せられ(執行猶予中も含む)、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
宅地建物取引業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または刑法に規定する障害、現場助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正または著しく不当な行為をした場合
○その他
成年被後見人、被保佐人または破産手続の開始決定を受けている場合
暴力団の構成員である場合
一つの事務所において宅建業に従事する者の5名に1名(案内所等については1名)以上の割合で、成年者である専任の取引主任者を設置していない場合

2.免許申請者

(1)たとえ会社や商号の登記で問題はなかった場合でも、次に掲げる商号等の制限の例に該当すると、前提として商号変更登記が必要となります。
①法令上、その商号、名称の使用が禁止されているもの
 →銀行業や信託業を行う会社でないのに、「銀行」「信託」の文字を商号にすること等
②地方公共団体または公的機関の名称と紛らわしいもの
 →「○○公社、○○協会」等
③指定流通機構の名称と紛らわしいもの
 →「○○流通機構、○○流通センター、○○不動産センター、○○住宅センター、○○情報センター」等
④個人業者の場合
 →「○○会社」や「○○不動産部」の「部」等法人と誤認させるおそれがあるもの
⑤変体がな及び図形または符号等で判読しにくいもの
(2)会社の登記事項証明書の目的欄に宅建業に関する目的の記載がない場合は、事前に目的変更登記をしておく必要があります。

3.事務所について

(1)本店または支店…本店または支店として登記事項証明書に記録されているもの
なお、本店で宅建業を営んでいなくても、支店で宅建業を営んでいれば、本店にも営業保証金の供託(または弁済業務保証金分担金の納付)及び専任の宅地建物取引士の設置が必要です。
また、本店を社長宅で登記している等、実質的に中枢管理的な統括機能を有しておらず、別の場所で商業を営んでいる場合は是正登記をしない限り、免許を受けられません。
(2)本店または支店のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
このような場所は、実体上支店に類するものといえるので、支店としての名称を付していなくても、従たる事務所として取り扱われます。
→ ○○営業所、○○店、○○出張所、○○事務所等
(3)事務所の形態について
一般的な解釈としては、物理的にも宅建業の業務を継続的に行える機能をもち、社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えていることが必要です(「事務所」として継続性、独立性)。
したがって、一般の戸建住宅又はマンション等の共同住宅の一室(一部)、同一フロアーに他の法人等と同居すること、仮設の建築物を事務所とすること等は原則として認められません。
例外が認められるかどうかについては、平面図等を持参し、必ず行政窓口で事前相談を受けてください(当所では事前相談の代行を承ります)。

4.専任の宅地建物取引士の設置について

「専任」とは、当該事務所に常勤して、専ら宅建業の業務に従事できることです(常勤性、専従性)。
「専任」の宅地建物取引士として認められない例として
①他の法人の代表取締役、代表者または常勤役員を兼任したり、会社員のように他の職業に従事している場合
②他の個人業を営んでいたり社会通念上における営業時間に、宅建業者の事務所に勤務することができない状態にある場合
※例えば、行政書士を営んでいる者が同一場所で宅建業(法人)を開業し、専任の宅地建物取引士を兼務することはできません(個人事業者が同一事務所で自ら宅建業の代表者及び専任の宅地建物取引士を兼務したい場合は、当該個人事業者のままであれば免許が受けられます)。
③通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
④申請会社の監査役に就任している場合
⑤宅地建物取引士証の交付を受けていない者
⑥既に専任の管理業務主任者等、他法において専任性が求められる職に付いている者
(ただし、専任の不動産鑑定士と専任の宅地建物取引主任者の兼務を認められるケースもあり、業務割合によっては認められる行政庁もあるようです。)

以上のいずれかに該当する場合は、専任の宅地建物取引士として免許申請はできません。

なお、新規免許申請の際、専任の宅地建物取引士は、「宅地建物取引士資格登録簿」に勤務先名が登録されておらず、かつ、その他についても免許申請内容と同一の登録状態であることが必要です。
(会社等が行う専任の宅地建物取引士等に関する就任及び退任等の変更届けは、宅建業者として免許を受けた大臣または知事に届け出るものですので、その届出により宅地建物取引士の資格登録簿の内容が自動的に変更になることはありません。別途宅地建物取引士資格登録簿登録事項の変更登録申請が必要です。)

5.契約を締結する権限を有する使用人(以下「政令使用人」という。)について

免許申請者である代表取締役が常勤する場合は、別の方を政令使用人として設置する必要はありませんが、常勤できない本店、支店等の場合は、政令使用人を設置する必要があります。

以上の要件等を簡単にまとめると、
欠格事由に該当していないか
商号、名称に問題はないか
会社(法人)の場合、登記記録の目的欄に宅建業に関する目的の記載があるか
事務所の形態は、宅建業の業務を継続的に行える機能をもち、社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えているか
新規申請の場合、専任の宅地建物取引士は、「宅地建物取引士資格登録簿」に勤務先名が登録されておらず、かつ、その他についても免許申請内容と同一の登録状態であるか
代表者が常勤できない本店、支店等の場合は、契約を締結する権限を有する使用人を設置できるか

これらを充たせば原則として宅建業の免許を受けられるのです。

 

※なお、免許申請時またはその審査期間中に行政指導を受けることがあります。

受けた行政指導のすべてに従わないと不利益な扱いを受ける、ということはありません(法令に根拠を見いだせない指導は拒むことが可能です)。

ただし、法令の解釈から導き出された指導の場合はこれを拒み続けると、「宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」等を理由として免許を拒否されることがありますので行政対応には十分ご注意ください。

 

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