広告費の負担者は誰!?

a0002_011679宅地建物取引業に関し国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款(昭和57年建設省告示第1110号)では、「特別に依頼した広告」の料金は依頼者が宅建業者にその実費を支払わなければならない旨規定した条項があります。

 

では「特別に依頼した広告」とはどういうケースを言うのでしょうか?

 

判例(東京高判昭和57年9月28日)によると、

「一般に宅建業者が土地建物の売買の媒介にあたって通常必要とされる程度の広告宣伝費用は、営業経費として報酬の範囲に含まれているものと解されるから、報酬告示第7が特に容認する広告の料金とは、大手新聞への広告掲載料等報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する特別の広告の料金を意味するものと解すべきであり、また、報酬告示第7が依頼者の依頼によって行う場合にだけ広告の料金に相当する額の金員の受領を許したのは、宅建業者が依頼者の依頼を受けないのに一方的に多額の費用を要する広告宣伝を行い、その費用の負担を依頼者に強要することを防止しようとしたものと解されるから、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、その費用の負担につき事前に依頼者の承諾があった場合又はこれと同視することのできるような事後において依頼者が広告を行ったこと及びその費用の負担につき全く異議なくこれを承諾した場合に限り、広告の料金に相当する額の金員を受領することができるものと解すべきである」としています。

 

要するに、不動産売買仲介における広告料は、余程のことがなければ宅建業者が依頼者に請求できるものではないということを意味します!

 

依頼者が宅建業者にその実費を支払う義務を負う場合とは、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものに概ね限られるということです。

 

したがって、一般の方々は頼んでもいない広告料(あるいは案内料、申込料等の名目も同じ)を宅建業者が請求してきた場合、安易に支払ってはいけません。

 

宅建業者におかれては、くれぐれも依頼者の特別な依頼に基づかない広告料を請求するこのないよう気をつけてください(宅建業法第46条第2項に違反し、行政処分の対象になります。)。

 

ちなみに、賃貸借の仲介においては、貸主から広告料、借主からは仲介手数料としてそれぞれ月額賃料の1か月分を受け取るという商慣習が少なくとも関東では根付いているようですが、これも厳密に言うと宅建業法第46条第2項に抵触します。

 

機械的に「貸主から広告料1か月分」というような形で受領する場合、少なくとも免許権者には通用しません(なお、トラブルさえ起こさなければ大手仲介会社を除き、積極的な取り締まりは現時点ではないようです)。

 

なぜ広告料が別途必要なのか、事前に依頼者から承諾が得られていたか等を確認し、実費などを交えて説明できるよう、常日頃から留意することは必要です。