登記情報とプライバシー問題

a0002_001029ご承知のとおり、登記記録の情報はその利害関係にかかわらず、だれでも取得することができます。

このため、個人情報保護法の適用外である、と認識している方も多いのではないでしょうか?

 

そこで、「不動産業における個人情報保護のあり方に関する研究会」報告(不動産流通業における個人情報保護法の適用の考え方)平 成17 年 1月(改 正:平 成 24 年 6月)を見てみると、

Q15.A『公開されている情報であっても個人情報に該当しうる。不動産登記簿や固定資産課税台帳に記載されている情報は個人情報であり、これらの個人情報を取得した場合には利用目的の公表や本人への通知が必要である。
しかし、例えば、仲介の依頼を受けた不動産取引に際しての重要事項説明に使用する目的でのみ不動産登記簿や固定資産課税台帳に記載されている個人情報を入手した場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当するとして利用目的の公表等を不要と解することは可能である。』

と明記されているため、登記情報は立派に個人情報であり、かつ、個人情報保護法の適用範囲内であることがその後の文面でわかります。

ただし、個人情報とはいえ売買や賃貸借の当事者以外の登記情報は各事業者においてデータベース化(検索できるように体系的に構成)していないことが大いに予想されるため、これに当たる場合は個人情報保護法の一部が適用外となる可能性があります(個人情報データベース等を構成しない個人情報のみを取り上げれば「個人情報取扱事業者」に該当せず、その者の行為は当該法の適用外と考える人もいます)。

例えば、売買契約時に隣地登記事項証明書を買主に交付するとき、隣地所有者をデータベース化していなければ当該隣地所有者に法で定める通知や同意を得なくても抵触することはない、という解釈がそれです。

 

では、仮に個人情報保護法に抵触しないとすれば、事業者は一切その管理に何の責任も問われることはないのか。

⇒ プライバシー侵害に基づく損害賠償請求を受けることがあるかもしれません。

 

個人情報保護法は行政法規であると考えられるため、その規定に違反した場合は、監督官庁(不動産業の場合は国土交通大臣)が指導や処分を行います。逆に、当該法の適用外であればそのようなことを受けることはなく、相手方や周りが何を言おうと問題にされることはありません。

しかし、事業者のずさんな管理によりプライバシーを大きく侵害された人がいた場合には、民事上の問題として裁判沙汰になってしまうことがあり得るのです。

 

したがって、不必要な登記情報等個人情報の取得及び頒布はしないよう心掛け、既に社内で保有している個人情報については、データベース化しようがしまいが、その利用目的を常日頃から意識してその管理には細心の注意を払うことが求められます。